【キングジョージ2026】社台ですら勝てない欧州三冠レース――日本競馬は進歩したのか

【キングジョージ2026】社台ですら勝てない欧州三冠レース――日本競馬は進歩したのか

マスカレードボールとヴェルテンベルクが参戦した今年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスは、昨年の同レースで2着だった5歳牝馬カルパナが連覇を目指す”世界最強馬”カランダガンを抑えて優勝。

日本馬の2頭は、日本のファンが目を覆いたくなるような惨敗を喫した。

私は、欧州の舞台でカランダガンを倒すことは難しいので、日本馬2頭が連携してカランダガンを内に閉じ込めるべき、という記事を書いていた。

はっきりいって、この記事は欧州競馬の厳しさを伝えるための自分なりの皮肉だったわけだが、残念ながら、2頭の日本馬はカランダガンに並ぶことさえ許されなかった。想像したより酷い状況だ。

そう考えると、2006年にハリケーンランやエレクトロキューショニストと接戦を演じたハーツクライの偉大さが際立ってくる。

社台としては、ハーツクライのリベンジを夢見ていたわけで、もちろん、挑戦するからには万全の状態でレースに臨んでいたと想像できる。関係者の意気込みや準備にかけた努力は相当のものだったであろう。

しかし、社台のもくろみは脆くも崩れさった。

我々はいつまで夢を見ていればいいのか?日本競馬は進歩していると錯覚してしまっているのではないのか

まず考えてほしいのは、あまりにも日本競馬の環境と欧州競馬の環境が違い過ぎるということだ。

競馬場の形態や芝生の違いから始まり、馬の育て方や調教方法に至るまで、欧州競馬の歴史や文化は日本のそれと全く異なっているわけで、これまでも元騎手の岡部幸雄さんをはじめ多くの競馬関係者が指摘してきている話だ。

整地されたキレイな芝のグランドでぬくぬくとサッカーをやってきた日本人と、ボコボコの土の上のストリートで貧しさと戦いながらサッカーをやってきたブラジル人と、どちらに優れたサッカー選手が多いかという話に似ている気がする。もちろん、ブラジルと日本のサッカー人口を比べればブラジルのほうが圧倒的に多いし、サラブレッドの生産頭数で見れば日本よりもアイルランドやアメリカの方が圧倒的に多い。ただ、それにしたって、日本は負け過ぎていないか?カランダガンはフランスの馬だが、フランスは日本よりもサラブレッドの生産頭数は少ない。

芝生がキレイに整えられていて、ほぼ平坦な楕円形の周回コースでばかりレースをしている日本馬が、アップダウンがきつくて地面の凹凸も多くていびつな形をした欧州のコースをいきなり走らされて、ストリート上がりの欧州勢に太刀打ちできるだろうか?

それと、欧州競馬をよく知る競馬関係者が口をそろえて言うのは、とにかく欧州の馬は大人しくて扱いやすい、ということだ。これは、気性が大人しいというよりは、よくしつけられているので人間に従順であるということだ。

マスカレードボールが引っかかってルメール騎手が難儀していた姿を見て、「やっぱり日本の馬だなあ」と思ってしまう。もちろん、日本と比べて欧州ではレースの流れが遅いのでそれに戸惑ったということはあると思うが、大人たちの中に1頭子どもが混じっているように見えてしまってならない。

本気で欧州三冠を勝ちたいなら、日本競馬の環境を変えるしかない。さもなければ、ディープインパクトやオルフェーヴルを超えるような超超スーパーホースが誕生するまで気長に待つしかない。私が生きている間にそんな瞬間が現れるだろうか?

大谷翔平選手が米メジャーリーグで歴史的な成績と名声を挙げているが、これは、大谷翔平という”スーパー人間”が生まれた奇跡と彼を大事に育ててきた環境が両方あってこそ叶った日本人の夢である。

アメリカの伝説的な選手を超えるような日本人メジャーリーガーが生まれたように、欧州の大レースを勝ちまくる日本の馬が生まれるのは、決して不可能ではない。

今秋、メイショウタバルが凱旋門賞に挑戦するという。昨年はクロワデュノールが挑戦して欧州勢にあっけなく敗れ去った。ファンは「メイショウタバルと武豊なら・・・」と淡い期待を抱いているが、彼は大谷翔平のような選手に近づけただろうか?キングジョージの現実を目の当たりにして、私はもう少し冷静に今年の凱旋門賞を見守っていきたいと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA