キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスの日本馬への期待と秘策

キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスの日本馬への期待と秘策

キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(通称キングジョージ)は、欧州三冠レースの1つ(他は英ダービーと凱旋門賞)とされ、過去に錚々たる世界的名馬たちが制してきたレースだ。

ニジンスキー、ミルリーフ、モンジュー、ガリレオ・・・現代のサラブレッドの血統表でよく見かける名馬たちもこのレースを勝っている。一方、日本馬は何度も世界の壁に阻まれ、いまだ優勝馬が輩出できないでいる。

歴史としては、欧州三冠の中では最も新しく、1951年に第1回が開催されている。
コースはイギリスのアスコット競馬場の芝2,390m。コースの半分以上が上り坂という超タフなコースで、フラットなコースに慣れている日本馬が苦しむ要因にもなっているはず。

今年2026年のキングジョージは、はっきりいって欧州最強メンバーが集まったといっていいだろう。日本馬2頭にとっては、相手関係的にも苦しいレースが予想される。

その最強メンバーの筆頭が、フランスのカランダガン(セン5)。間違いなく、クラシックディスタンス(2400m)では世界最強であり、昨年のキングジョージの覇者でもある。

カランダガンに関しては昨年のジャパンカップを勝ったことで、日本のファンにもお馴染みになったことだろう。マスカレードボールがカランダガンに肉薄した姿を見て、今回のリベンジを期待する日本のファンもいるかもしれないが、今年のレースぶりを見ても、正直に言ってカランダガンに死角は見当たらない。

しかも、当日はパンパンの良馬場になるだろうと予測されており、日本馬にとっても好材料ではあるが、切れ味が武器のカランダガンにとっても最高の舞台が整うことになる。

カランダガンに匹敵する強豪としては、アイルランドのミニーホーク(牝4)がいる。

ミニーホークは昨年の凱旋門賞2着馬で、オークス三冠(英オークス、愛オークス、ヨークシャーオークス)も制しているとおり、この馬もクラシックディスタンスではカランダガンに引けをとらない実績がある。ただ、今年のレースぶりは爆発力がやや足りない印象で、前走のプリンスオブウェールズSでようやく復調の兆しが出てきた。

その他にも、昨年のキングジョージ2着馬のカルパナ(牝5)や一昨年のキングジョージを勝ったゴリアット(セン6)など怖いメンバーがそろっている。

怖いという点でいうと、今年のアイルランドダービー馬ベンヴェヌートチェッリーニ(牡3)が日本馬にとって最大の障壁になるかもしれない。何より、3歳馬ということで日本馬たちより5kgも軽い斤量で出走できるのだ(注:4歳以上牡馬は61kg、3歳牡馬は56kg)。

果たして、日本のマスカレードボールとヴェルテンベルクはこれら最強メンバーを打ち破って、悲願のキングジョージ制覇を達成できるだろうか?

鍵は、馬場と展開だろう。

まず馬場だが、もし雨が降って重馬場になれば、正直にいって日本馬たちには厳しいレースになる。ヨーロッパの重馬場は日本の重馬場とは次元が違っていて、並みのパワーやスタミナではヨーロッパの馬たちに太刀打ちできない。

しかし、先述のとおり当日は良馬場になりそうだ。これが実現できるなら、日本馬たちはヨーロッパの馬たちと同じ土俵で戦うことができる。
ただ、それでも油断はできない。なぜなら、カランダガン、ミニーホーク、カルパナ、ゴリアット、ベンヴェヌートチェッリーニはいずれも良馬場が得意な馬たちだからだ。

切れ味勝負では日本馬に分がありそうだが、カランダガンだけは別だ。カランダガンの切れ味は日本馬に匹敵するどころか、それ以上のものがある。昨年のジャパンカップで見せた末脚が証明している。

ということは、日本馬の敵は、カランダガン1頭に絞ってもいいかもしれない。カランダガンを抑えることができれば、かなりの確率で日本馬の優勝の目が出てくる。

アスコット競馬場の最後の直線は約500m。東京競馬場とほぼ同じ長さだ。

しかし、先述のとおりアスコットは長い上り坂がダラダラ続くコースであり、ゴール前200mまで上り坂は続いている。つまり、直線の切れ味勝負になったとしても、残り200mでスタミナが切れてしまえばゴール前の伸びを欠いてしまう。東京の直線とは事情が違うのだ。

昨年のキングジョージを見ると、勝ったカランダガンは直線の坂を登り切るまではムチを使わず我慢して前を行く馬の後方に控えており、残り200m(1ハロン)からムチを入れて加速し前の馬を差し切っている。

おそらく、カランダガン陣営は昨年と同じようなレースを考えているだろう。「カランダガンの切れ味であれば、必ず差し切れる」という絶対的な自信が鞍上のミカエル・バルザローナ騎手にはあるはずだ。

日本馬は、カランダガンと真っ向勝負では勝てない。最後の200mまでスタミナを温存して、残りの200mでカランダガンと末脚勝負する戦い方では、相手の思うつぼになってしまう。

ここは、カランダガンの末脚を封じる戦法をとるべきだ。

日本馬2頭でカランダガンを内側に封じ込めて、残り200mまで外に出させない。そして、残り200mでスタミナを残している方の日本馬が先に抜け出し、一瞬抜け出すのが遅れたカランダガンがわずかな差で2着に敗れる、というシナリオだ。

イメージは、ダノンデサイルがカランダガンを破った2025年のドバイシーマクラシック。ダノンデサイルとチェルヴィニアの内側に閉じ込められたカランダガンが、先に抜け出したダノンデサイルに遅れをとって最後まで捕まえ切れなかった、という展開だ。

「そんな姑息なことを・・・」という声が聞こえてきそうだが、そこまでしないと、今のカランダガンを止められる馬は世界中を探しても見つからないだろう。

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