「確証バイアス」という言葉がある。
人間というのは、自分の仮説や信念に合致する情報ばかり集める傾向があり、逆に、都合の悪い情報には目を背けがちになる、という心理作用のことである。
さらに言えば、人間というのは、自分の努力が水の泡になってしまうことを嫌って、今までの自分の行動が「もしかして違うかも」と思っても、その行動を改める勇気を出せないことが多い。
馬券に関しても、そうだ。
一生懸命時間をかけて予想した馬券であればあるほど、不安材料に目を背けがちだし、「違うかも」と思っても自分の予想が無駄になることを恐れて、「まあ、大丈夫だろう」と何の根拠もなく楽観視して馬券を買ってしまうものだ。
先週の中央競馬で馬券を買った際に、あらためて思ったこと。
――当日の馬の状態を見て自信がなくなったら買うな。
どんなに自信のある予想を事前にしていたとしても、当日の馬体重やパドックの状態を見て「もしかしたら勝てないかも」と迷い始めたら、躊躇なくその馬券の購入を見送るべきなのである。
いったん迷い始めると、どんなに時間をかけて考えようがその迷いがなくなることはない。最終的には確証バイアスに陥って「気のせいだ」とか「自分の予想は正しい」などと言って、迷いを抱えたまま馬券を買ってしまうことになる。
逆に言えば、当日の馬の状態を見た上で自分の予想に迷いがないのなら、誰がなんと言おうとその馬券は買うべきである。
私は先週、この「失敗論」を思い出して、2レース分の馬券購入を見送る判断ができた。そこまで時間をかけて予想をしたわけではないが、自分なりに自信のあった馬券である。
ところが、パドックを見て「あれ?馬の出来がイマイチだな・・・」と思い始めたら、どんどん自分の馬券に自信がなくなった。最終的に馬券を買わなかった結果、2レース分の損失を回避することができた。自分が感じたとおり、本命候補だった2頭はレースで敗れた。
競馬はギャンブルである。勝つか、負けるかだ。
そして、誰であろうと未来は予測できない。勝つか、負けるかは運命であり、自分ではその運命を変えられない。
自分ができることは、運命を受け入れ、「これでよかったんだ」と納得することである。
仮に馬券が外れたとしても、自分が自信をもって買った馬券なら納得できる。自信がなくなり、迷いながら勝った馬券が外れてしまうと、「やっぱり買わなきゃよかった・・・」ととんでもない自己嫌悪に陥ることになる。
「人事を尽くして天命を待つ」これこそが馬券の王道であり、自信がない馬券は決して買わないことこそ勝利への近道だと思うのだ。