新種牡馬エフフォーリアが話題になっている。
まず、今年2026年にデビューを迎えた初年度産駒の2歳馬たちが続々と勝ち上がっていること。
そして、その勝ち上がり率を見て、今年のセレクトセール(国内最大のサラブレッドセリ市)に上場されたエフフォーリア産駒が軒並み高額で競り落とされたことだ。
2歳新馬戦がスタートして1か月超が経過した2026年7月12日時点で、JRA所属のエフフォーリア産駒は計6頭が勝ち上がっている。新馬戦と未勝利戦を合わせて計59レースが行われているから、全勝ち上がり馬の約1割に相当する数だ。
ちなみに、今年の2歳の勝ち上がり馬を種牡馬別に見ると、頭数の多い順でエフフォーリア6頭、シスキン5頭、キタサンブラック&サートゥルナーリア&サリオス各3頭・・・という感じ。つまり、エフフォーリア産駒は全ての種牡馬の中で最もたくさん勝ち上がっているわけだ。
新種牡馬で言えばサリオスも大健闘しているが、エフフォーリアと共通するのは血統的な背景だと考えている。この点をのちほど考察する。
セレクトセールの高額取引馬でいえば、1歳馬のレディフォグホーンの2025が3億9000万円(金子真人ホールディングス(株))、プティフォリーの2025が3億3000万円((株)ダノックス)で競り落とされたほか、当歳馬を含めて億越えのエフフォーリア産駒が連発している状況だった。※金額はいずれも税抜き
今や、競馬業界でキタサンブラックと並ぶほどの注目を集めている種牡馬がエフフォーリアなのだ。
さて、エフフォーリア産駒の活躍がここまで予想されていたかといえば、そうではないと思う。
例えば、昨年2025年のセレクトセールを見ても、1億円を超える金額で落札されたエフフォーリア産駒は1歳と当歳で1頭ずつしかおらず、ましてや2億や3億を超えるような仔馬はいなかったのである。
それが、今年になって落札額が急騰したということは、2歳馬の勝ち上がり率を見て業界内の評価が一変したということに他ならない。業界内でも、昨年まではエフフォーリア産駒に期待が持てていなかったわけだ。
しかし、私の個人的な分析では、エフフォーリア産駒の活躍は事前に予想できたと思っている。その根拠は、エフフォーリアの血統だ。
これはあくまで仮説であるが、現在私が行っている血統の研究によれば、競走馬の能力はその馬の5代血統表を見ればある程度予想できると考えている。具体的に言うと、5代父と5代母の種牡馬系統(サイアーライン)を見るだけでその競走馬の能力を予想できるという理論である。
理論の詳細は別の機会に解説するとして、エフフォーリア産駒についてもこの理論にあてはめれば、活躍が予想できたということだ。

これも詳述は省略するが、上のエフフォーリア産駒は今年の新馬戦で素晴らしいパフォーマンスを見せた1頭だが、この馬の5代父母(計32頭)を一覧で見ると、様々な系統のサイアーラインが実にバランスよく並んでいることがわかる。
これが何を意味するのかと言えば、そもそも、エフフォーリアの血統表に並ぶ4代父母たち(エフフォーリアの仔からみれば5代父母たち)の血統的なバランスがいいということである。
当然だが、競走馬の能力は、父(種牡馬)からだけでなく、母(繁殖牝馬)からも影響を受ける。厳密に言えば、競走馬は父と母から50%ずつ遺伝子を受け継いでいる。
つまり、どれだけ種牡馬の能力が高かったとしても、生まれてくる仔馬の能力はその50%しか影響を受けないのであって、残り50%は母馬の能力(=遺伝子)に依存するのである。
ということは、ある種牡馬の成功する可能性を予想するとき、その種牡馬がどれだけ優秀な繫殖牝馬を集められるかが重要になることは明らかであろう。
しかし、もう1つ大事なことがある。
それは、どんな能力(=遺伝子)を持つ繁殖牝馬と交配してもそれなりの能力を持った仔馬を出せるようなバランスのよい遺伝子を持っていること、言い換えれば、どんな繁殖牝馬とも相性がよくなるようなバランスのよい血統背景を持っていることである。
その、「バランスのよい血統」というのを、エフフォーリアは持っていたというわけだ。だから、エフフォーリア産駒の活躍は予想できた、と言いたいのである。同じく新種牡馬のサリオス産駒の活躍も同じことが言える。
エフフォーリアの4代父母のサイアーラインを見ると、欧州系の血統よりも米国系の血統が多くみられるが、どの血統が濃いというわけではなく、様々な米国系の血統がバランスよく分散して配合されている。
そもそもエフフォーリアの血統背景がバランスいいから、どんな血統の繁殖牝馬と配合してもそれなりのバランスの血統を持った仔馬が生まれてくるし、特に、欧州系の血統が多い繁殖牝馬と配合すれば、よりバランスのよい血統の仔馬が生まれてくる。上記の血統表で示したエフフォーリア産駒は、母馬のアースライズ(クロワデュノールの半姉)が欧州系のスタミナ血統を多く持っていたことから、結果的に、エフフォーリアの血統と合わさっていいバランスの血統になっている。
ただ、血統のバランスが特定の系統に偏ったからといって強い馬が生まれないわけではないのだが、このあたりは細かい話になってくるので、別の機会に触れることにしたい。
とにかく、エフフォーリアは、初年度産駒ということでノーザンファームの良質な繁殖牝馬が集められたことだけが活躍の要因ではなく、元々もっている血統的なポテンシャルが高かった、ということなのだ。