いよいよ今週末から秋競馬が始まります。競馬ファンの皆さんはきっとワクワクしているのではないでしょうか?
一方で、競馬を始めたばかりの初心者の皆さんは、「なんでワクワクするの?」「秋競馬って何?」「何を見ればいいの?」といった素朴な疑問が湧いていくると思います。
そこで、今回からシリーズもので今年2023年の秋競馬の楽しみ方、見どころを解説していきたいと思います。
シリーズ第1回は、今週末からステップレースが開催される牝馬クラシック編です。
牝馬クラシックと秋競馬について知ろう!
秋競馬の見どころを知りたいんですが、そもそも「牝馬クラシック」って何ですか?
それはズバリ「牝馬3冠レースをどの馬が勝つか?」という3歳牝馬(メス馬)たちの戦いのことを言うんだ。
牝馬3冠レースってどんなレースなんですか?
牝馬3冠レースはどれもGⅠレースで、その世代(3歳)の牝馬の頂点を決めるレースだ。1冠を取るだけでも大変なことだが、2冠や3冠を取ることができる馬は歴史的にも数えるほどしかいないんだ。
<牝馬3冠レース> 1冠目 GⅠ桜花賞(阪神競馬場 芝1,600m 4月開催) 2冠目 GⅠ優駿牝馬「オークス」(東京競馬場 芝2,400m 5月開催) 3冠目 GⅠ秋華賞(京都競馬場 芝2,000m 10月開催)
へー、そうなんですね。で、それが秋競馬とどう関係があるんですか?
1冠目の桜花賞と2冠目のオークスは春に開催されるんだが(春競馬)、3冠目の秋華賞は秋に開催される。そう、牝馬クラシックにとっての秋競馬とは、「牝馬3冠最後の秋華賞をどの馬が勝ち取るか?」ということに他ならないんだ。
2023秋競馬の見どころはコレだ!
牝馬クラシックと秋競馬についてはわかりましたが、ズバリ見どころは何なんですか?
それは「牝馬3冠馬の誕生なるか?」ということだな。
3冠馬!?さっきそんな馬は歴史的に少ないって言ってたじゃないですか?
そう。その歴史的な瞬間が今年の秋競馬で見られるかもしれないんだ。
えー、そうだったんですか。で、その3冠馬になるかもしれない馬って何ていう馬ですか?
その名もリバティアイランドだ!
牝馬クラシック戦線まとめ
リバティアイランド・・・なんかカッコいい名前ですね。
そうだな。名前もかっこいいが、これまでの戦いぶりもすごいぞ。これを見てくれ。この表は今年2023年の牝馬クラシック戦線で活躍している馬たちの一覧だ。
馬名 | レーティング (5点満点) | 戦績 | 次走予定 |
リバティアイランド | ★★★★★ | 5戦4勝 (阪神JF、桜花賞、オークス) | 秋華賞 |
ハーパー | ★★ | 5戦2勝 (クイーンC、オークス2着) | 秋華賞 |
ドゥーラ | ★★ | 8戦3勝 (クイーンS、オークス3着) | 秋華賞 |
コナコースト | ★★ | 5戦1勝 (桜花賞2着) | 秋華賞 |
ゴールデンハインド | ★ | 8戦2勝 (フローラS) | 秋華賞 |
ドゥアイズ | ★ | 7戦1勝 (クイーンC2着、桜花賞5着) | 秋華賞 |
シンリョクカ | ★ | 4戦1勝 (阪神JF2着、オークス5着) | 秋華賞 |
エミュー | ★ | 8戦3勝 (フラワーC) | 紫苑S |
ヒップホップソウル | ★ | 5戦1勝 (フラワーC2着) | 紫苑S |
ソーダズリング | ★ | 4戦1勝 (フローラS2着) | ローズS |
ラヴェル | ★ | 5戦2勝 (アルテミスS、オークス4着) | ローズS |
ペリファーニア | ★ | 4戦1勝 (桜花賞3着) | 未定 |
へー。この「レーティング」っていうのは何なんですか?
これは私(筆者)が独自に各馬の強さを評価したもので、星★の数が多ければ多いほど馬が強いことを示しているんだ。★5つが満点だな。
えっ、じゃあリバティアイランドは★が5つ付いてるから満点ってことですか?
そのとおり。春の牝馬クラシック戦線はリバティアイランドの独壇場だったんだ。他の馬は全く歯が立たなかったと言ってもいい。
そうだったんだ。他にはどんな馬がいるんですか?
リバティアイランドに続く馬としては、オークス2着のハーパーや同3着のドゥーラがいるが、これらはオークスでリバティアイランドに6馬身以上もぶっちぎられての完敗だったから、かなり離れた2番手というポジションになるな。
2番手の馬たちのレーティングは★が2つだけなんですね。
そうだ。その他の馬では、中距離重賞を勝ったゴールデンハインドやエミューらもいるが、正直リバティアイランドと勝負ができる馬たちはいないと思うぞ。
それを聞くとリバティアイランドがダントツで強い感じに思えてきましたけど、本当にそんなに力が違うんですか?
いま言ったことが本当かどうかは、桜花賞とオークスのレースを見てもらえばきっと納得するだろう。以下のYouTube動画で確認してみるといいぞ。
リバティアイランドの3冠達成なるか
動画を見ましたけど、リバティアイランド、メチャクチャ強いじゃないですか!
そうだろ?じゃあ、リバティアイランドについてあらためて解説しよう。これがプロフィールだ。
リバティアイランドを一言で表すなら「完璧なアスリート」ということだろうね。
具体的にはどういうことですか?
まず筋肉のつき方がエゲツないんだ。パドックでその馬体を見比べれば、初心者の人でも他の馬との違いがわかるくらいだ。そこまで筋肉がつくと、普通の馬はスタミナが持たないし、長距離を苦手とする場合が多いんだ。ほら、マラソン選手ってどんな体型の人が多い?
結構細い人が多いですよね。あんまり筋肉隆々の人はいないと思います。
そうだろ?ウサイン・ボルトみたいに短距離を走る人は筋肉隆々だけど、マラソンを走るにはそんなに筋肉はいらないし、逆に筋肉が付くと体重が増えて長距離を走るには不利になるんだ。
はあ。それがリバティアイランドとどう関係が?
リバティアイランドは筋肉があるから、当然スピードもあるし、パワーもある。本来こういう馬は短距離が得意だから、桜花賞(1,600m)は勝ててもオークス(2,400m)は勝てないはずだ。しかし、リバティアイランドはオークスを6馬身ぶっちぎって勝ってしまった。つまり、ウサイン・ボルトが100m走も勝って、マラソンでも勝っちゃった、という状態だな。
えー、そういうことなんですか?なぜそんなことができるんですか?
わからないが、おそらく長距離も走れるだけの強い心肺機能と特殊な筋肉が備わっているんだろうな。つまり、競走馬(アスリート)としては最強ということだ。
そうなんですね。じゃあ、リバティアイランドは3冠が取れそうですか?
ほぼ間違いないね。このデータも見てほしい。
<第1回から第27回(前回)までの秋華賞の戦績> ・桜花賞・オークス2冠馬..............6勝2敗(勝率75%) ・桜花賞馬(オークス負けor不出走).....2勝11敗(勝率15.4%) ・オークス馬(桜花賞負けor不出走).....4勝11敗(勝率26.7%) ※無冠馬・・・15勝
桜花賞またはオークスのどちらかしか勝っていない馬だと秋華賞の勝率は3割以下だが、2冠馬だと勝率75%、つまり4頭中3頭は秋華賞を勝って3冠馬になっているということだ。しかも、秋華賞で負けた2頭の2冠馬は、秋華賞でもそれぞれ2着と3着に入っているから、春の2冠を取れた時点で限りなく3冠馬に近づくというわけだ。
なるほど。データの上からもリバティアイランドの3冠が確実視されるわけですね。
そうだ。ちなみに、秋華賞が開催されるようになって以降オークスで6馬身以上の差をつけた2冠馬はリバティアイランド以外にいないし、オークスを2馬身以上の差で勝った2冠馬の秋華賞の勝率は100%だ。
秋華賞のステップレースに注目
秋華賞はリバティアイランドが勝つんでしょうけど、馬券を買う人にとっては2着や3着にどんな馬が来るかを知りたいと思うのですが。
それなら、秋華賞のステップレースに注目してほしい。
ステップレースって何ですか?
ステップレースとは、秋華賞の前哨戦(ぜんしょうせん)のことで、秋華賞に出走することができる権利(優先出走権)を得るためのレース(トライアルレース)のことだ。
秋華賞のトライアルレースはこの2レースだ。
・GⅡ紫苑ステークス(中山競馬場 芝2,000m R5.9.9開催) ・GⅡローズステークス(阪神競馬場 芝1,800m R5.9.17開催)
このレースで3着以内に入った馬に秋華賞の優先出走権が与えられるぞ。
へー。で、この2レースのどこを注目すればいいんですか?
まずは、春のクラシックで活躍した馬がどんなレースをするのかが注目だ。
今のところの出走予定馬は、こんな感じだな。
・紫苑ステークス.......エミュー、ヒップホップソウル ・ローズステークス......ソーダズリング、ラヴェル
なんか、少ないですね。
そうだな。その他の有力馬は春からぶっつけで秋華賞に出走するようだ。ただ、GⅠレースはぶっつけでいいレースができるほど簡単なレースではないぞ。ステップレースのもう一つの意味は、本番(秋華賞)までに1回レースに使って、馬の調子を整えたりレース勘(人間のスポーツでいうところの試合勘)を取り戻したりすることにあるんだ。
そうなんですね。じゃあ、ステップレースで好走できた馬は秋華賞でも買い、ってことですね?
まあ、そういうことだな。付け加えると、3歳馬は夏の間に大きく成長することがあるから、春のレースぶりと比べて成長している様子がステップレースで見られれば、その馬も買いだな。例えば、春のレースで負けていた馬にステップレースで逆転して勝った馬とか、春は惜しいレースが続いていたのにステップレースをあっさり勝ってしまった馬とか。
なるほど。そういうデータもあるんですか?
そうだ。
これは春の2冠馬が出走した秋華賞8レースの2冠馬以外の出走馬のデータだ。
<ステップレースを使った馬の秋華賞の成績>
着順 | 頭数 | 確率 | 馬の内訳 |
1着 | 2頭 | 25% | レッドデザイア(ローズS1着) スタニングローズ(紫苑S1着) |
2着 | 5頭 | 62.5% | アドマイヤグルーヴ(ローズS1着) ブロードストリート(ローズS2着) アニメイトバイオ(ローズS1着) ヴィルシーナ(ローズS2着) マジックキャッスル(紫苑S4着) |
3着 | 2頭 | 25% | ヤマカツリリー(ローズS2着) カンタービレ(ローズS1着) |
<ステップレースを使わずぶっつけで出走した馬の秋華賞の成績>
着順 | 頭数 | 確率 | 馬の内訳 |
1着 | なし | 0% | |
2着 | 1頭 | 12.5% | ナミュール(オークス3着からぶっつけ) |
3着 | なし | 0% |
えっ、ぶっつけで秋華賞に出走した馬はほぼ全滅じゃないですか。ステップレースを使った馬はたくさん好走しているのに・・・1着になった馬までいますよ?
そうだ。ステップレースで1着や2着に入った馬は本番の秋華賞でも好走する確率が高いが、過去にはステップレース4着の馬が本番で2着に入ったこともあるから、着順だけでなくレースの内容にも注目だぞ。
わかりました。ステップレースの好走馬に注目しようと思います。
このブログでもステップレースの展望と回顧を記事にする予定だから、それもチェックしてみてくれ。
リバティアイランドに挑む注目の馬
ステップレースを使わない馬にも注目の馬はいるんですか?
そうだな、桜花賞2着のコナコーストやオークス2着のハーパーは実績面で十分戦える力はあると言えるだろう。ただ、2頭ともどのくらい夏の間に成長しているかわからないから、秋華賞ではあくまで2着、3着争いとして考えたいな。
他にはいるんですか?
ステップレースは使わないが、夏の間にレースに出て成長を見せた馬が一頭いるんだ。その名はドゥーラだ。
レーティングは★2つでコナコーストやハーパーと一緒ですね。
そうだ。ただ、夏のレースを使っているという点で、2頭よりもリードしていると思うぞ。そのレースとは、8月に札幌で開催されたGⅢクイーンステークスだ。
クイーンステークスはステップレースではないんですか?
厳密にいうとステップレースではないんだが、秋競馬に向けた調整という点で重要なレースだ。そういう意味ではステップレースと意味合いは近いかもな。
ドゥーラはクイーンステークスでどんなレースをしたんですか?
詳しくはこのレース回顧の記事を見てほしいが、古馬(年上の馬)を相手に勝ち切ったところがこの馬の成長ぶりを表していると思うぞ。斤量(馬に課せられる負担重量)が軽かったとはいえ、中団から大外をまくって差し切る競馬は強い馬のレースぶりそのものだった。
じゃあ、ドゥーラは秋華賞でもいいレースができそうですね。
その可能性はあるな。実際にドゥーラと同じく3歳でクイーンステークスを勝った馬がその後の秋華賞で好成績を残している例もある。2010年3着のアプリコットフィズや2011年優勝のアヴェンチュラがそうだ。ただ、2003年のオースミハルカ6着、2012年のアイムユアーズ6着、2017年のアエロリット7着と秋華賞で凡走している優勝馬もいるから、正直言って半々だな。
じゃあ、どちらにしてもリバティアイランドに敵う馬はいないっていうことですね?
残念ながらそういうことだ。2冠馬が秋華賞を取りこぼした2つの例を見ると、いずれも春に接戦を演じていた馬に足元をすくわれたような格好だから、リバティアイランドに関してはこれも心配はなさそうだ。
わかりました。それなら、3冠馬誕生の瞬間を楽しみにして待ちたいと思います!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
初心者向けにわかりやすく秋の牝馬クラシックの見どころを解説したつもりですが、「この記事を見たことでより秋競馬が楽しみになった」と思っていただけると幸いです。
これからも牡馬クラシック編、短距離戦線編、中長距離戦線編、2歳編、ダート編、海外競馬編とシリーズを続けていきたいと思いますので、ぜひ楽しみにお待ちください!