【レース展望】GⅠ天皇賞(春)2024【スタミナ自慢の競演】

【レース展望】GⅠ天皇賞(春)2024【スタミナ自慢の競演】

春のGⅠ戦線、先週は中休みでGⅠレースの開催はありませんでしたが、今週からいよいよ怒涛のGⅠ6連戦が始まります。

今週は伝統の一戦、天皇賞(春)が開催されますので、今回はこのレースを展望してみたいと思います。

国内のGⅠレースで最も距離が長い芝3,200mで行われるこのレース。今回もスタミナ自慢が集まりましたが、果たしてどの馬が栄誉ある天皇楯を手にするのでしょうか?

天皇賞(春)2024 概要

まず、レースの概要をご覧ください。

天皇賞(春)2024 概要
開催日時 R6.4.28(日)15:40発走
コース 京都競馬場(右回り)11R 芝3,200m 外回り
条件 4歳以上オープン GⅠ 定量
馬場状態 良(予想)
出走頭数 17頭(牡13頭 牝3頭 セン1頭)※ヒンドゥタイムズが出走取消
その他 同日開催の香港チャンピオンズデー参戦の川田騎手、坂井騎手、西村騎手、岩田康騎手は不在

コースですが、なんといっても3,200mという競走馬にとって過酷な距離と、京都競馬場名物の第3コーナーの坂を2回クリアする必要があるというのが特徴です。

3コーナー過ぎの下りはスピードが乗りやすいので、ここでいかに馬をコントロールするかが鍵です。また、1週目の正面スタンド前ではスタンドから大歓声があがるので、ここでテンションが上がってしまう馬は抑えが効かなくなりスタミナをロスすることになります。

いずれにしても、騎手の腕や経験が特に試されるコースということが言えます。

京都競馬場の芝3,200m外回りコース模式図(引用元:JRAホームページ)

続いて、出走馬16頭の一覧をご覧ください。

天皇賞(春)2024 出走馬(1番~10番)※2番は出走取消
天皇賞(春)2024 出走馬(11番~18番)

定量戦のため、一律に牡馬・騙(セン)馬は58kg、牝馬56kgの斤量を背負います。

年齢、所属、種牡馬、脚質別、前走クラス別の出走頭数は以下のとおりとなっています。

  • 年齢別 【4歳】5頭 【5歳】6頭 【6歳】3頭 【7歳】1頭 【8歳】2頭
  • 所属別 【関東馬】6頭 【関西馬】11頭
  • 種牡馬別 【ハーツクライ】3頭 【キズナ】3頭 【ゴールドシップ】2頭 【その他】9頭(うち7頭が父or母父サンデーサイレンス系)
  • 脚質別 【先行】3頭 【差し】8頭 【追い込み】1頭 【自在】5頭
  • 前走クラス別 【重賞】13頭 【オープン】2頭 【3勝】2頭 

天皇賞(春)2024 見どころ

天皇賞というだけでファンにとっては注目のレースであることに間違いはありませんが、その中でも筆者KBが独自に見どころを3点挙げました。

ペースを握る馬はどの馬か?

今回の天皇賞(春)は、「何が何でも逃げたい」という馬が見当たりません

昨年の天皇賞(春)は、スタートから1番人気タイトルホルダーと逃げ馬アフリカンゴールドが壮絶な先行争いを演じた結果、アフリカンゴールドはレース早々に心房細動を発症し競走中止、タイトルホルダーは4コーナー手前で歩様に乱れが出て競走中止という悲劇的な結末になりました。

その中でも、前走GⅡ日経賞で大逃げから4着に粘り込んだマテンロウレオの鞍上、横山典弘騎手がどのような作戦に出るかが注目です

横山典弘騎手といえば、1996年のサクラローレル、2004年のイングランディーレ、2015年のゴールドシップ天皇賞(春)を3勝している名手

残り1,200m地点でムチを打ちながら超ロングスパートをかけて勝ったゴールドシップの騎乗も見事でしたが、横山騎手の真骨頂はなんといってもイングランディーレで見せた大逃げでしょう。

マテンロウレオは前走で大逃げの手を打って好成績を残しましたので、素直に考えれば今回も同じ戦法に出ると思いますが、いつも我々の想像を超える騎乗を見せる横山騎手。正直まったく予想ができません。

4歳牡馬勢の実力は本当に低いのか?

現在の4歳世代、特に4歳牡馬については予想家やファンの間でその実力が疑問視されています。

ケチがついたのは、昨年の有馬記念。世代トップのダービー馬タスティエーラや皐月賞馬ソールオリエンスが古馬を相手に完敗してしまったのです。この2頭は、今年のGⅠ大阪杯でもやはり上の世代の馬たちに蹴散らされました。

そして、この世代の砦(とりで)であった菊花賞馬ドゥレッツァは、前走のGⅡ金鯱賞でやはり上の世代のプログノーシスに5馬身も引き離されて2着に敗れました

しかし、筆者の結論としては「4歳世代は決して弱くない」と考えています。詳しくは以下のレース展望で述べますね。

天皇賞(春)2024に出走する現4歳の5頭

牝馬の71年ぶり天皇賞(春)制覇は叶うのか?

先日は3歳牝馬のレガレイラが76年ぶりに皐月賞を勝つかどうかが話題になりましたが(結果は6着)、天皇賞(春)も何を隠そう牝馬にとっては鬼門のレースなのです

なんと、1953年(昭和28年)にレダという牝馬が勝って以来、70年間、牝馬は天皇賞(春)を勝てていません。秋の天皇賞は1997年にエアグルーヴが勝って以降、ウォッカやアーモンドアイといった名牝たちがこれまで勝利を収めてきましたが、これは多分に距離が2,000mであることも関係しているのでしょう。

3,200mという過酷な距離を、しかもGⅠという強豪が集まるレースで牝馬が勝つというのはそれだけ難しいことなのだと思います。

今回、人気のサリエラをはじめ計3頭の牝馬が出走しますが、果たして71年ぶりの牝馬による天皇賞(春)制覇となるのでしょうか。

天皇賞(春)2024に出走する牝馬の3頭

天皇賞(春)2024 レース展望

4月28日(日)朝の時点で、1番人気は12番ドゥレッツァ(牡4)、2番人気は14番テーオーロイヤル(牡6)、3番人気は1番サリエラ(牝5)となっています。

実力が試される長距離GⅠということもあり、比較的人気の馬が上位を占めることが多い天皇賞(春)。

過去10年を見ると、1番人気の馬の成績は〔3・3・0・4〕(勝率30%、複勝率60%)、2番人気の馬は〔5・0・1・4〕(勝率50%、複勝率60%)、3番人気の馬は〔1・1・1・7〕(勝率10%、複勝率30%)。1~3番人気の馬が10回中9回優勝していますが、意外にも2番人気の馬がそのうち5回も優勝しています

果たして今回も人気馬が来るのか、それとも荒れるレースになるのか。

レース展開

天皇賞(春)2024 スタート~第3コーナー

やはり、私は11番マテンロウレオが逃げるだろうと予想します

10番サヴォーナも前に行きたいような話を陣営がしていましたし、スタミナに自信のある6番ディープボンド、14番テーオーロイヤルも積極的な競馬をしたいはずです。

12番ドゥレッツァも前で競馬はできますが、柔軟性のある馬なのでまずは様子を見るために中団にポジションをとると思います。

天皇賞(春)2024 第3コーナー~第4コーナー(1週目)

11番マテンロウレオが逃げ、10番サヴォーナ、6番ディープボンドが続いて、14番テーオーロイヤルは外目の4~5番手に付けるでしょう。3コーナーの坂の下りではスピードが付き過ぎないように各馬手綱を引っ張った状態です。

1番サリエラは最内枠ですが、この馬は末脚勝負の馬ですので、内側でジッと脚をためる形になるはずです。7番タスティエーラはテーオーロイヤルをマークするように中団7番手あたり。12番ドゥレッツァはその後ろの集団の外目に。

天皇賞(春)2024 正面スタンド前(1週目)

1週目の正面スタンド前に来る頃にはある程度隊列は決まっているでしょう。有力馬は14番テーオーロイヤル→1番サリエラ&7番タスティエーラ→12番ドゥレッツァという並びになると思います。

おそらく最初の1,000mは61秒くらいの平均ペースになると思いますが、このあたりから11番マテンロウレオが少しずつペースを上げて後続を引き離していくと予想します。

天皇賞(春)2024 第1コーナー~第2コーナー

第1コーナーから第2コーナーの間で11番マテンロウレオのリードはさらに広がり、後続馬は隊列を変えないまま、各騎手はポツンと1頭逃げるマテンロウレオのペースを計っていることでしょう。

ただ、そこは横山典弘騎手も百戦錬磨ですから、後ろの馬に楽をさせないはずです。どんなペース配分で逃げるのか興味深いところです。

天皇賞(春)2024 向正面(2週目)

天皇賞(春)の2週目の向正面は色々なドラマが生まれる場面です。各騎手の思惑や勝負勘が働く1つのクライマックスシーンになるでしょう。

11番マテンロウレオがリードを取って逃げる中、ペースによっては後ろの馬がここで前に上がって来る可能性もあります。特に12番ドゥレッツァの動きが気になります。

また、マテンロウレオがペースを下げることになれば、ここで一気にリードがなくなって馬群が固まる可能性もあります。

天皇賞(春)2024 向正面(2週目)

もう1つのクライマックスは、2度目の坂越え、第3コーナーから第4コーナーにかけての下り坂です。ここで一気にスピードをつけて先頭集団に並びかけて形勢を変えるゲームチェンジャーがいるかもしれません。

14番テーオーロイヤルはここぞとばかりにスパートをかけて外目から前を捉えにかかるでしょう。これを追いかけて7番タスティエーラ、12番ドゥレッツァも上がってくると思いますが、1番サリエラは武豊騎手がマイペースを守ってここでも内でジッとしているはずです。

天皇賞(春)2024 最後の直線入口

直線入口ではまだ11番マテンロウレオが先頭だと思いますが、すぐ後ろからは6番ディープボンドが追いかけ、外からは有力馬の14番テーオーロイヤル、7番タスティエーラ、12番ドゥレッツァが追い込んできます。

1番サリエラは、直線入口で馬群がばらけた瞬間に武騎手のゴーサインで内をついてスパートするでしょう。

天皇賞(春)2024 直線~ゴール

直線では14番テーオーロイヤルが前走阪神大賞典の再現のように早めに11番マテンロウレオを交わして先頭に。しかし、前走と同じようにはいかず、外からは7番タスティエーラと12番ドゥレッツァ、内からは1番サリエラが猛然と追い込んできます。

最後は脚色に勝るドゥレッツァが粘るテーオーロイヤルを交わして1着でゴール。わずかに交わせなかったタスティエラーが3着、サリエラが4着に入るだろうと予想しました。

6番ディープボンドも前で粘るでしょうし、5番ブローザホーン、9番シルヴァーソニック、15番メイショウブレゲもいい脚で追い込んでくると思いますが、上位とは少し差があるかもしれません。

人気上位2頭は実力もスタミナも突出

上位人気のドゥレッツァとテーオーロイヤルに関しては、正直に言って、他馬とは比べ物にならないくらいのスタミナを持っていると思っています。まさに「スタミナお化け」ですね。

特に、ドゥレッツァに関しては昨年の菊花賞(芝3,000m)でとんでもない勝ち方をしていますし、私は自身の記事でスーパーホースだと断言しています。詳しくは以下の記事をご覧ください。

4歳世代が弱いと言われていますが、今回の天皇賞(春)でそれが間違いであることをドゥレッツァが証明してくれることでしょう

そして、テーオーロイヤルに関しては、前々走のダイヤモンドステークス(芝3,400m)でサリエラに完勝し、前走の阪神大賞典(芝3,000m)で5馬身差の圧勝をしています。この馬はよほどのことがない限り、スタミナ切れで沈むようなことはないでしょう。

テーオーロイヤルの唯一の心配はレース間隔が詰まっていることによる疲労です。ただ、これだけスタミナがあるということは、疲労回復のスピードも速いでしょうから杞憂かもしれません。

筆者の注目馬 タスティエーラ

筆者が注目しているのは、一部から「弱い」と言われている4歳世代の大将格、ダービー馬タスティエーラです。

なぜタスティエーラに注目しているかについては、昨年の有馬記念のレース回顧を記事に書いたときに詳しく説明していますので、こちらをご覧ください。

タスティエーラは、前走のGⅠ大阪杯で1番人気になりましたが、結果は人気を大きく裏切る11着。勝ったのは同じ4歳世代のべラジオオペラでしたが、4歳世代の実力に対する懸念はこのレースで決定的となりました。

しかし、筆者はこのレース(大阪杯)のタスティエーラは全く仕上がっていなかった、むしろ、天皇賞(春)に向けていい「叩き」になったと思っています。

こちらが大阪杯のときのタスティエーラのパドックの写真です。

大阪杯2024のタスティエーラのパドック(JRAレーシングビュアーより)

ぜひ上部に貼ったリンクから過去記事を開いて有馬記念の時のパドックと見比べてみてください。特に後ろの太もも(トモ)を見ると、有馬記念と比べて大阪杯のほうが明らかに筋肉が少ないとわかります。

今回の天皇賞(春)でタスティエーラがどのくらい仕上がっているか、しっかりパドックでチェックしたいと思います。

そして忘れてはいけないこと。今回の天皇賞(春)でタスティエーラに乗るのは、「マジックマン」ことモレイラ騎手。今年の桜花賞1着、皐月賞2着とノリノリですし、昨年の菊花賞でタスティエーラが2着だった時もモレイラ騎手とのコンビでした。

「穴」どれない馬 ブローザホーン&ディープボンド

今回の「穴」どれない(侮れない)馬は、京都競馬場との相性がいいブローザホーンとディープボンドです。

侮れない理由は、まさにその京都競馬場との相性です。

ブローザホーンは京都競馬場で行われた今年のGⅡ日経新春杯で重賞初勝利を挙げました。ディープボンドは、そもそも天皇賞(春)で3年連続2着に入っており、実力もレースへの適性も十分なのですが、昨年、3年ぶりに京都競馬場で開催された天皇賞(春)で5番人気という低評価を覆して好走しました(2年前と3年前の天皇賞はいずれも1番人気)。

前述のとおり、京都競馬場の特に中長距離コースはかなりの難コースで、舞台適性が出やすいと考えています。ぜひこの2頭は穴で押さえておきたいですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

熱を入れるあまり、記事の投稿がレースギリギリのタイミングになってしまい、申し訳なかったです。それだけ楽しみで熱いレースであるということで、お許しください。

ということで、最後に私の天皇賞(春)2024の厳選5頭をお伝えしてこの記事を締めたいと思います。

天皇賞(春)2024 厳選5頭

S評価 12番ドゥレッツァ 14番テーオーロイヤル

A評価 7番タスティエーラ 1番サリエラ

穴評価 5番ブローザホーン 6番ディープボンド

※執筆時点(R6.4.28朝)の筆者による個人的な評価です。競馬予想を保証するものではありません。

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