結果から言えば、神戸新聞杯でのロブチェンの勝利は、彼が三冠にふさわしい存在であることをあらためて示した。
レースを観たほとんどのファンが思ったことだろう。
「ロブチェンを負かせる馬がいるのか?」と。
私は、過去に以下のような記事を書いた。
かつて、多くの二冠馬(皐月賞&ダービー勝ち)たちが三冠を目前に夢を断たれている。歴史的瞬間を目撃しようと京都競馬場に集まった大観衆は、まさかの結果に呆然としていた。
そう。ありきたりの言葉だが、「競馬に絶対はない」のである。
ロブチェンの馬柱だけ見れば、当然、菊花賞にも「1着」の記録が残るだろうと思える。
だが、あえて問いたい。
なぜ、共同通信杯は3着に敗れたのか?
ロブチェンも、完全無欠の馬ではないのだ。
とはいえ、「どの馬が菊花賞でロブチェンを負かすのか?」と聞かれても、現時点で自分には明確な答えがない。上記の記事ではマテンロウゲイルを推しているが、先日のチャレンジカップでは期待外れの結果であった。
そこで思い浮かぶのは、2006年の菊花賞。
このレースの1番人気は、春に皐月賞と日本ダービーを制して三冠に王手をかけていたメイショウサムソン。前哨戦の神戸新聞杯はわずかクビ差で2着に敗れていた・・・。
ん?クビ差?
1着と2着の違いがあるとはいえ、神戸新聞杯で僅差の勝負をしていた点はロブチェンと似ている。
さらに言えば、皐月賞とダービーをともに接戦で制した点や、3歳初戦で敗れている点、510kg台の馬体重なども2頭は似ている。前からでも後ろからでもいける自在性も、長くいい脚が使える点もそうだ。よく見れば、首の低い独特な走行フォームも似ているではないか。
そのメイショウサムソンは、菊花賞で4着。神戸新聞杯3着の8番人気ソングオブウインドにあっさり差し切られてしまった。
「そんな不吉なこと言わずに、黙ってロブチェンを応援したらいいじゃないか!」と言われそうだが、それができるなら、私もそうしたい。しかし、どうしても不安がつきまとうのは、過去の嫌な思い出――三冠を逃した馬たちのことを思い出してしまうからだ。
メイショウサムソンは、菊花賞の翌年に天皇賞(春)を勝っていることからも、決してスタミナがなかったわけではないだろう。菊花賞で敗れた要因はいろいろ考えられるが、すべて推測の域を超えない。だが、あえて言えば、1つは3歳時点で心肺機能が未成熟だったこと、もう1つは、様々なプレッシャーとの戦いに負けてしまったことだ。
石橋守調教師(当時は騎手)も含めて関係者には申し訳ないが、メイショウサムソンを菊花賞で勝たせるためには、レースで最高のパフォーマンスを引き出さなければならなかった。結果的には、騎手・調教師ともにそれができなかったと言わざるを得ない。
相手関係を見れば、メイショウサムソンの能力は抜けていた。心肺機能が未熟だったとしても、それをカバーできるくらいのパフォーマンスが出せていれば、三冠も可能だっただろう。
では、ロブチェンはどうか?
松山弘平騎手と杉山晴紀調教師には、メイショウサムソンほどの心配はしていない。なんといっても、デアリングタクトで牝馬三冠を達成したコンビなのだから。
あとは、ロブチェン次第だと思う。私が心配しているのは、むしろ彼の心肺機能でありスタミナの部分だ。
上記の記事で述べたように、私はロブチェンの適性距離は2000mだと考えている。神戸新聞杯で圧勝していればその考えは覆っただろうが、今回の勝ち方を見て、むしろ確信に近いところまでいってしまった。
松山騎手と杉山調教師には、自分たちを信じてとにかくロブチェンの最高のパフォーマンスを発揮してほしい。そこにしか、私には勝機が見えてこないのである。能力だけでいえば、ロブチェン以上の馬はいないのだから。