【レース展望】NHKマイルカップ2024【世代最強マイラーは誰だ?】

【レース展望】NHKマイルカップ2024【世代最強マイラーは誰だ?】

出走予定馬が報道されるたびに、ドキドキ、ワクワクが高まっていました。そして、ついにやって来ました。

今週は、私が非常に楽しみにしていたGⅠNHKマイルカップが開催されますので、今回はこのレースを展望してみたいと思います。

同日朝には日本馬が出走する米国GⅠケンタッキーダービーも開催されますが、それに負けないくらいの熱いレースが期待できます。ぜひ皆さんも楽しんで観戦してください。

NHKマイルカップ2024 概要

まず、レースの概要をご覧ください。

NHKマイルカップ2024 概要
開催日時 R6.5.5(日)15:40発走
コース 東京競馬場(左回り)11R 芝1,600m
条件 3歳オープン GⅠ 馬齢
馬場状態 良(予想)
出走頭数 18頭(牡13頭 牝5頭)
その他 同日開催のケンタッキーダービー参戦の坂井瑠星騎手は不在

コースですが、NHKマイルカップはその名のとおり芝のマイル(1,600m)で行われるレース。

東京競馬場では、第2コーナー付近からスタートをして向正面の約400mの直線を走ったあと、第3コーナー、第4コーナーと回って、最後は名物の上り坂を含む長い直線(525.9m)を走ります。

コースも広く、コーナーもゆるやかで、直線が長いということで、ゴチャつくようなレースにはなりにくいのですが、実力が正直に出てしまうコースとも言えます。加えて1,600mというのはスピードだけでなくスタミナも要求される距離ですので、スピード自慢の馬がスピードだけで逃げ切ることは難しいでしょう。

東京競馬場の芝1,600mコース模式図(引用元:JRAホームページ)

過去の全28回の優勝馬を脚質別に見てみると、逃げ3頭、先行6頭、中団(差し)12頭、後方(追い込み)7頭となっており、差し・追い込みの馬の優勝が多くなっていますが、逃げや先行の馬も優勝馬の3分の1を占めています。過去10年で見ると、逃げ・先行の馬が4頭優勝していて、割合はむしろ多くなっています。

続いて、出走馬18頭の一覧をご覧ください。

NHKマイルカップ2024 出走馬(1番~10番)
NHKマイルカップ2024 出走馬(11番~18番)

馬齢重量により、一律に牡馬は57kg、牝馬は55kgの斤量を背負います。

年齢、所属、種牡馬、脚質別、前走クラス別の出走頭数は以下のとおりとなっています。

  • 年齢別 【3歳】18頭
  • 所属別 【関東馬】8頭 【関西馬】10頭
  • 種牡馬別 【モーリス】3頭 【ダイワメジャー】2頭 【エピファネイア】2頭 【ドレフォン】2頭 【Palace Malice】2頭 【その他】7頭
  • 脚質別 【逃げ】1頭 【先行】5頭 【差し】11頭 【自在】1頭
  • 前走クラス別 【重賞】18頭(桜花賞3頭、皐月賞2頭、NZT4頭、アーリントンC3頭、ファルコンS3頭、その他3頭)

NHKマイルカップ2024 見どころ

冒頭で筆者KBが今回のNHKマイルカップを楽しみにしていたと申し上げましたが、その理由も含めて独自にこのレースの見どころを3点挙げてみました。

3歳の最強メンバーが揃った

今回のNHKマイルカップ。正直に言って、この後のオークスや日本ダービーよりも楽しみなメンバーが揃ったと言って過言ではないと思います。

なぜなら、最優秀2歳牡馬のジャンタルマンタル最優秀2歳牝馬のアスコリピチェーノがダービーやオークスではなく、このNHKマイルカップへの出走を選んだのですから。ジャンタルマンタルは皐月賞3着、アスコリピチェーノは桜花賞2着と、クラシックでも素晴らしい活躍をしているのに、あえてここに出てきた。これを歓迎しないわけには行きません。参考として、桜花賞と皐月賞のレース回顧の記事を貼っておきます。

それに、2歳時にはこれらの2頭と同等、あるいはそれ以上の評価を受けていたゴンバデカーブースボンドガールシュトラウスダノンマッキンリーといったメンバーも出てきました。さらに、3歳になって実力をつけてきたGⅢシンザン記念勝ちのノーブルロジャー、GⅢアーリントンC勝ちのディスペランツァもいますし、GⅠ馬ナミュールの妹アルセナールや、同じくGⅠ馬アドマイヤリードの子キャプテンシーといった良血馬もいます。

本当は、ここにダノンエアズロックという期待の大きな馬も出走予定だったのですが、これらの馬たちがいるせいで除外になってしまったくらい豪華メンバーがそろったのです(ダノンエアズロックはプリンシパルSを楽勝してダービー出走へ)。

アスコリピチェーノ、ボンドガール、シュトラウス、ダノンエアズロックの4頭については、以下の過去記事でも期待を述べています。

3歳世代は牡馬と牝馬のどちらが強いのか?

先にも述べたように、今回のNHKマイルカップでは2歳牡馬チャンピオン(ジャンタルマンタル)と2歳牝馬チャンピオン(アスコリピチェーノ)に注目が集まっています。

ジャンタルマンタルが勝ったGⅠ朝日杯フューチュリティステークスの勝ちタイムが1:33.8、アスコリピチェーノが勝ったGⅠ阪神ジュベナイルフィリーズの勝ちタイムが1:32.6。同じコース(阪神競馬場の芝1,600m)で行われた2レースのタイムを単純に比較すれば、アスコリピチェーノ(牝馬)のほうが好タイムで勝っています。さらに、もう1つの2歳GⅠ、ホープフルステークスを勝ったのも牝馬のレガレイラです

確かに2歳時点では牝馬のレベルの高さが目立っていました。しかし、そのレガレイラは76年ぶりの牝馬優勝が期待された今年の皐月賞で6着と敗戦。その皐月賞で3着だったのがジャンタルマンタルです。

アスコリピチェーノは牝馬同士の桜花賞で2着に負けて初黒星を喫しましたが、牡馬との対戦となった2歳時の新馬戦とGⅢ新潟2歳ステークスでは全く危なげない完勝を収めています。そして、今回がジャンタルマンタルとの初対決

果たしてアスコリピチェーノは牡馬勢に勝ってレガレイラの雪辱を果たせるか、はたまた、ジャンタルマンタルを含む牡馬勢が牝馬を抑えて優勝するのか。ぜひ注目です。

「本当の」3歳牝馬最強マイラーはどの馬か?

牡馬と牝馬の対決にも注目ですが、実は牝馬同士の対決も注目なのです。それは、アスコリピチェーノとボンドガールが初めて対決するからです。

私は、この2頭の対決を本当に楽しみにしていました。ただ、まさかその舞台がNHKマイルカップになるとは想像していませんでした。なぜなら、この2頭は桜花賞で優勝争いをすることになるだろうと考えていたからです。このことは、以下の過去記事にも書いています。

しかし、ボンドガールはトライアルレース(チューリップ賞など)に出られず、賞金も足らなくて桜花賞への出走は叶いませんでした(代わりにニュージーランドトロフィーに出走し2着)。ボンドガールを管理する手塚調教師は桜花賞に出走できなかったことを「自分のミス。ボンドガールに申し訳ない」と言っていました。

いや。ミスであろうとなんであろうと、私はこの素晴らしいメンバーのNHKマイルカップでアスコリピチェーノとボンドガールの対決が見られて嬉しいです。ボンドガール陣営も期するところはあるでしょう。きっとバチバチの見ごたえのあるレースになると期待しています。

NHKマイルカップ2024 レース展望

4月28日(日)朝の時点で、1番人気は14番アスコリピチェーノ(牝3)、2番人気は16番ジャンタルマンタル(牡3)、3番人気は5番ボンドガール(牝3)となっています。

NHKマイルカップは荒れるレースというイメージのあるファンもいらっしゃるかもしれません。

過去10年を見ると、1番人気の馬の成績は〔2・1・1・6〕(勝率20%、複勝率40%)、2番人気の馬は〔3・2・1・4〕(勝率30%、複勝率60%)、3番人気の馬は〔1・1・1・7〕(勝率10%、複勝率30%)。1~3番人気の馬が10回中6回優勝していますが、残り4回のうち2回は9番人気の馬が勝っています。昨年の9番人気シャンパンカラーの激走は記憶に新しいところです。そのほか、2桁人気の馬が3回2着に入っており、データ的にも荒れる可能性があるレースと言えそうですが、果たして今回は?

レース展開

NHKマイルカップ2024 スタート後

脚質を考えると、やはり9番キャプテンシーが逃げる展開で、そこに外から15番マスクオールウィンや17番ユキノロイヤルが絡んでいく形になるでしょう。

有力馬の位置取りですが、4番ボンドガールは「好位差し」が一番合っているように思いますし、内側の枠ということもありますので、前のポジションを取りに行くと予想します。また、16番ジャンタルマンタルも、外枠に入りましたが、向正面の長い直線を使って皐月賞のように好位につけて来ると思います。

一方、14番アスコリピチェーノはやはり切れ味で勝負をしたいところですので、外枠ということもあり、抑えて中団の位置につけるでしょう。

NHKマイルカップ2024 向正面

向正面では、9番キャプテンシーが引っ張る形ですが、マイルという距離を考えると先行馬たちもペースは抑え気味にいくでしょうから、そこまでペースは早くならずに、隊列も比較的固まった形になるのではないかと思います。

先団につけた5番ボンドガールと16番ジャンタルマンタルは「行く気を見せる馬」ですから、ここではしっかりペースを抑えて脚を溜めたいところです。14番アスコリピチェーノは中団の外目で人気2頭を見ながらレースを進めるでしょう。

NHKマイルカップ2024 第3コーナー

第3コーナーでも9番キャプテンシーが先頭で、隊列はほとんど変わらないでしょう。しかし、コーナーでは内と外で走る距離に差が出てきますので、特に外の馬は前についていくためにペースを上げる必要があります。

好位の外目にいる16番ジャンタルマンタルは、まだスパートはしませんが、前から5番手あたりをキープしたいでしょう。また、中団の外目にいる14番アスコリピチェーノは、前の有力馬との位置を計りながら、じっくり後ろで脚を溜めている状態です。

5番ボンドガールは先団馬群の中に入った状態ですが、ジャンタルマンタルを横目にみながらやはり脚を溜めていることでしょう。

NHKマイルカップ2024 第4コーナー

9番キャプテンシーがややリードを引き離しながら第4コーナーに向かいます。このあたりでペースも上がってきます。

16番ジャンタルマンタルと5番ボンドガールはともに前から4、5番手あたりで脚を溜めている状態ですが、ジャンタルマンタルよりも長い末脚が使えるボンドガールは、内に閉じ込められないようにこのあたりで外に出してくるかもしれません。ジャンタルマンタルは絶好の手ごたえでコーナーを回ると思いますので、一瞬の切れで勝負するために追い出すのはまだ先でしょう。

14番アスコリピチェーノは、ジャンタルマンタルの切れ味を考えると位置が後ろ過ぎては分が悪いですので、ジャンタルマンタルの位置を見ながら外を通ってポジションを上げてくると思います。

NHKマイルカップ2024 最後の直線入口

9番キャプテンシーがリードを保ちながら最後の直線に向きますが、ここから500m以上の長い直線を、しかも坂を上りながら走ることになります。どの馬も追い出しのタイミングが重要です

5番ボンドガールは、一瞬の切れという点で16番ジャンタルマンタルや14番アスコリピチェーノよりも劣ると思いますが、新馬戦や2戦目のGⅡサウジアラビアロイヤルカップを見てわかるように、2頭よりも長い脚が使える点がアドバンテージです。ボンドガールは2頭よりも早めに仕掛けて逃げるキャプテンシーを追いかけて来るでしょう

一方、ジャンタルマンタルはジャンタルマンタルで、アスコリピチェーノの「切れ味」を知っていますので、ボンドガールを逃がさないようにしつつ、アスコリピチェーノとの末脚勝負に負けないような絶妙のタイミングで追い出す必要があります。皐月賞では結果的に後ろの馬に差されてしまいましたが、今回は距離が短くなりますので、ゴールまでしっかり伸びて来るでしょうから、鞍上の川田騎手の手綱さばきが見ものです。

アスコリピチェーノのコンビは怪我から復帰したルメール騎手。感覚がくるっていなければ、前の有力2頭をきっちり差し切るタイミングで追い出してくるはずです。まさに、2021年にこのレースを勝ったシュネルマイスターのように。

NHKマイルカップ2024 直線~ゴール

直線で逃げる9番キャプテンシーも粘りますが、残り200mあたり5番ボンドガールが交わして先頭に立ち、その外にスパートをかけた16番ジャンタルマンタルが並びかけます。

ジャンタルマンタルがそのまま押し切りたいところですが、そこを後ろから虎視眈々と狙っていた14番アスコリピチェーノが外から襲いかかり、ゴール前ギリギリで交わしてアスコリピチェーノが1着でゴールすると予想します

ジャンタルマンタルが2着、ボンドガールが3着に入り、この上位3頭を追いかけるように13番シュトラウス、12番ゴンバデカーブース、6番ロジリオンあたりが外から4~5着争いを繰り広げているでしょう。

2歳時の高評価馬がそのままレースでも上位に来ると予想

3歳になって力をつけてきたノーブルロジャーやディスペランツァあたりも確かに強いとは思いますが、桜花賞や皐月賞を見る限り、今回のNHKマイルカップは2歳時に高い評価を得ていた馬たちで上位を独占すると考えています。

具体的には、2歳チャンピオンのアスコリピチェーノとジャンタルマンタル、そしてボンドガールとゴンバデカーブースの4頭です。4頭の2歳時の評価については、以下の過去記事でも詳しく解説しています。

https://toproadoor.net/2023/12/09/2023autumn_midokoro_2year/

確かにこの4頭と初対決の馬も多くいますが、そもそもクラシックに出られるだけでもその世代の中で能力が高いとわかる中で、アスコリピチェーノとジャンタルマンタルはそこで勝ち負けのレースをしたわけですから、世代トップの実力があるのです。そして、この2頭と同等あるいはそれ以上の評価を2歳の時点で受けていた馬たちというのは、3歳になっても同世代でトップクラスの存在と言えるでしょう。

ボンドガールに関しては、前走のニュージーランドトロフィーで渋った馬場と勝ち馬エコロブルーム(骨折によりNHKマイルカップは出走回避)の切れ味に屈しましたが、一叩きした今回、良馬場でしっかり実力を出し切れるでしょう。

ただ、ゴンバデカーブースに関しては、昨年10月のサウジアラビアロイヤルカップを勝って以来、半年以上ブランクをあけての出走になります。能力の高さは間違いありませんが、臨戦過程の面で他の3頭とは差がついてしまいました。

筆者の注目馬 シュトラウス

筆者が注目しているのは、2歳時に高い評価を受けていたもう1頭の馬、シュトラウスです

シュトラウスを推す理由については、正直、筆者の個人的な思い入れが大きいという点があります。詳しくは、以下の過去記事でご覧ください。

シュトラウスは、不良馬場の新馬戦を9馬身差で圧勝。さらに、2歳時のサウジアラビアロイヤルカップで前出のボンドガールやゴンバデカーブースと接戦を演じました。そして、出世レースと言われる3走目のGⅡ東京スポーツ杯2歳ステークスを勝利。ここまではよかったのですが・・・。

その後、ジャンタルマンタルが勝ったGⅠ朝日杯フューチュリティステークスで10着、今年初戦の中スポ賞ファルコンステークスで9着と惨敗が続きました。

詳しい方は良くご存じだと思いますが、この馬のウィークポイントは気性の難しさです。これさえクリアすれば、今回のメンバーの中で爆発力はナンバーワンだと思いますので、一発はあると思っています。

何より、これまで好走してきたレースはすべて東京競馬場です。これは何かの偶然かもしれませんが、東京競馬場ならシュトラウスも落ち着いて走ることができるかもしれません(という筆者の願望です)。

「穴」どれない馬 ロジリオン

今回の「穴」どれない(侮れない)馬は、東京競馬場との相性がいいロジリオンです。

前回の天皇賞(春)で「京都競馬場と相性がいい」ということでブローザホーンとディープボンドを穴馬に挙げたところ、なんと2頭が2着と3着に入る結果に。

「2匹目のどじょう」というわけではありませんが、今回も東京競馬場との相性をポイントとして挙げました。

過去10年のNHKマイルカップで1着~3着に入った計30頭を調べたところ、同レース前に東京競馬場の芝1,400mを走っていた馬はそのレースで〔5・2・0・0〕と勝率71.4%、連対率100%という成績を残していました。これは、他の条件のレース(例えば阪神競馬場の芝1,600mなど)に比べて断然の好成績。ちなみに、同様に東京競馬場の芝1,600mを走っていた馬は〔6・2・0・1〕と勝率66.7%、連対率88.9%とこちらも好成績でした。

ロジリオンは、これまで東京競馬場の芝1,400mを4走して〔2・1・0・1〕と勝率50%、連対率75%という好成績を残しています。このうちの1勝のオープン特別クロッカスステークスは素質馬ダノンマッキンリーを相手に完勝してますし、2着に入ったGⅡ京王杯2歳ステークスでは上がり最速(3F33秒0)で僅差の敗戦でした。

前走のファルコンステークスは最内枠スタートから直線で前が詰まって脚を余した状態の5着でしたので、今回のNHKマイルカップでは十分巻き返しが狙えるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回も熱が入るあまり、記事の投稿がレースギリギリのタイミングになってしまい、申し訳なかったです。それだけ楽しみで熱いレースであるということで、お許しください。

ということで、最後に筆者のNHKマイルカップ2024の厳選6頭をお伝えしてこの記事を締めたいと思います。

NHKマイルカップ2024 厳選6頭

S評価 14番アスコリピチェーノ 16番ジャンタルマンタル

A評価 5番ボンドガール 13番シュトラウス 12番ゴンバデカーブース

穴評価 6番ロジリオン

※執筆時点(R6.5.5朝)の筆者による個人的な評価です。競馬予想を保証するものではありません。

※筆者の評価基準は、能力7:展開2:ロマン1です。

今回のNHKマイルカップもYouTubeでライブ配信によるレース観戦をしますので、ぜひこちらもご覧ください。

YouTube 【ライブ配信】NHKマイルカップ2024/出走馬紹介/見どころ解説/レース展望/馬体重チェック/パドック解説/レース生実況/振り返り

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