先週は牝馬3冠の最終戦、GⅠ秋華賞が開催されました。
注目のリバティアイランドは、最終の単勝オッズが1.1倍(!)断然の人気に応えて、リバティアイランドが牝馬3冠を達成しました。
今回は2023秋華賞とリバティアイランドについて筆者の雑感を書いてみます。
リバティアイランドへの思い
一競馬ファンとしてリバティアイランドの3冠達成は本当に嬉しかったです。
私がこの馬の力を確信したのは(皆さんもそうかもしれませんが)オークスでの6馬身差勝ちを見た時でした。
こちらはオークス前に私が書いたリバティアイランドの記事です。
https://toproadoor.net/2023/05/21/libertyisland2023/
桜花賞では、確かに1頭だけオーラというか風格が他の馬とは違ったのです。ですから、迷いなくリバティアイランドを本命にできました。
しかし、
オークスでのパドックの様子は、桜花賞とうって変わって何だか落ち着かない、ジャジャ馬な印象を受けました。馬が平凡に見えたというか。
「これは、ひょっとして凡走もあるかも」
そう思って、リバティを本命にはせず、桜花賞3着の走りが気に入ったペリファーニア(オークス12着)を本命に推しました。
そして、あの結果。
パドックでの様子とあまりにかけ離れた強い勝ち方に、私は完全に魅了されました。
牝馬三冠、いや、それどころではない歴史に名を残すスーパーホースだと確信したのです。
秋競馬の見どころ解説の記事でリバティの強さについて語っていますので、こちらもご覧ください。
https://toproadoor.net/2023/09/07/2023autumn_midokoro_fclassic/
夏の放牧から帰ったリバティが50kg以上も体重が増えているというニュースを見て驚いた方も多いと思いますが、私は「そんなの関係ない。そんな次元の話をするような馬ではない。」と思っていました。
結果的に、しっかり調教をして秋華賞までには+10kgまで絞られていましたが、+20kgで出てきても驚かなかったと思います。
「いま目の前で起こっていることがこの馬の全てなんだ。この馬の歴史なんだ。」と思えるくらい、リバティは私の中で神格化しつつあります。
2023秋華賞の振り返り
そんなリバティアイランドが完勝した秋華賞ですが、見ててヒヤッとした方も多いのではないでしょうか。
リバティをゴール前で本気で差し切ろうとしていた馬が1頭だけいたのです。
そう、マスクトディーヴァです。
ゴールした瞬間、マスクトディーヴァの岩田騎手はとても悔しそうに頭を下に振っていました。「くそーっ!」とでも言っているような。
これが真剣勝負です。
競馬ファン皆んながリバティアイランドの3冠を見たがっているところに、本気でその馬を負かしに行く馬や騎手、調教師などの競馬関係者がいてこそ、こんな歴史に残る名レースが生まれるわけです。
5着に入ったモリアーナの武藤調教師もレース前の共同会見で「(20年の調教師人生で初めてのGⅠ制覇を目指すことについて聞かれ)是が非でもモノにしたい」と意気込みを語っていました。
そう。リバティだけでなく、この晴れ舞台に出走した全ての馬にドラマや競馬関係者の強い思いが存在していたのです。
3着のハーパーは、桜花賞、オークスに続いて今回もリバティの後塵を拝する結果になりましたが、ルメール騎手は「凄くいい競馬だった。馬は精いっぱい走ってくれているが」と馬をねぎらっていました。
4着のドゥーラもオークス3着からの巻き返しをはかりましたが、4コーナーでリバティのスピードについていけず、直線で完全に引き離されました。鞍上の斎藤新騎手は「勝ちに行く競馬をした。今日の経験は今後に必ず生きてくるはず」とリバティに真剣勝負を挑んだ馬と自分自身を鼓舞するように語っていました。
その他にも、6着に入ったマラキナイアや7着に入ったエミューなどいい脚で追い込んだ馬もいましたし、果敢に逃げたコナコースト(8着)や積極的な先行策をとったラヴェル(11着)も見せ場をつくってくれました。
結果はリバティアイランドの圧勝でしたが、こんな素晴らしいレースを見せてくれた全馬とその関係者に感謝と労いの気持ちををお伝えしたいと思います。
川田騎手の涙
そして、なんと言ってもリバティアイランドを見事に3冠達成へ導いた川田将雅騎手に最大の敬意を表したいと思います。
このレースで一番印象的だった場面は、ゴール後にスタンド前へ戻ってきた川田騎手が厩舎関係者と喜び合うシーンです。テレビを見ながらハッとしました。「川田騎手が泣いている!」
このYouTube動画を見てそれが間違いではなかったとわかりました。動画の4分50秒あたりです。
川田騎手はレース後のインタビューでも「心から感動しています」と語っていました。
あの日本ナンバーワンジョッキーが、あの自分にも周囲にも厳しいジョッキーが人目もはばからず涙を流したのは、リバティアイランドの頑張りに対する感動、ここまで馬を仕上げ、育て上げた関係者に対する感動、そして無事に3冠をプレゼントすることができた自分自身に対する感動が同時に押し寄せきたからではないでしょうか。
私は今、一冊の本を読んでいます。それが、川田騎手の著書「頂への挑戦 負け続けた末につかんだ「勝者」の思考法」です。
まだ読み終わっていないのですが、これを読めば、川田騎手がいかにしてリバティアイランドを3冠達成に導いたかが少しわかるのではないかという気がしています。
川田騎手はなかなか壮絶な人生を送っているようで、とても興味深く読ませてもらっています。
皆さんにもぜひ紹介したい本なので、またこのブログで感想などを記事にして掲載したいと思います。ぜひお楽しみに。