【レース展望】マーメイドステークス2024【超難解ハンデ戦】

【レース展望】マーメイドステークス2024【超難解ハンデ戦】

先週の函館スプリントステークスはかろうじてワイドを当てることができますが、やはり夏競馬は難しい、特に馬の状態の評価が難しいと痛感しました。

今週末の重賞はマーメイドステークスだけ。1レースに集中して研究できるのはいいことなのですが、なんせハンデ戦で3勝クラスや2勝クラスの馬も出走するだけに、馬の状態評価だけでは予想できないのが難しいところ。こういう時は、展開予想が重要だと私は考えています。

というわけで、今回はそのマーメイドステークスのレース展望をしてみます

マーメイドステークス2024 概要

まず、レースの概要をご覧ください。

マーメイドステークス2024 概要
開催日時 R6.6.16(日)15:35発走
コース 京都競馬場(右回り)11R 芝2,000m 内回りコース
条件 3歳以上オープン GⅢ ハンデ 牝馬限定
馬場状態 良(予想)
出走頭数 16頭(全て牝馬)

今回、一番注意しないといけないのは、いつもの阪神競馬場ではなく、京都競馬場で開催されるということです。過去に京都競馬場で行われたのは2006年の一度だけ。この時に勝ったのは、最軽量の斤量49kgを背負った9番人気の3歳馬ソリッドプラチナムでした。

コースですが、スタンド前の直線の半ばからスタートして、内回りコースをぐるっと一周します。

スタートから1コーナーまでの距離は300m程度しかないため、逃げ・先行馬は一気にスタートダッシュして前のポジションを取りに行くことになります。2コーナーあたりではほぼ隊列が決まり、ペースも落ち着きます。内回りコースのため、最後の直線は323.4メートル(Dコース使用時)とかなり短くなり、各馬は3~4コーナーで早くもラストスパートをかけます。そして、外回りと違って4コーナーはタイトなため、馬群がバラけにくく、内で包まれてしまうと直線入口で前が詰まってしまうおそれがあります。さらに、内で詰まるのを避けるために差し・追い込み馬が一斉に外へ出てしまうと、大外を回される馬はかなりの距離ロスが生じてしまいます

小回りが利いて加速力のある馬が向いているコースと言えそうです。

続いて、出走馬16頭の一覧をご覧ください。

マーメイドステークス2024 出走馬(1~10番)
マーメイドステークス2024 出走馬(11~16番)

牝馬限定戦のため出走馬はすべて牝馬です。

ハンデ戦のため、実績や最近の状態などを考慮して以下のとおり斤量が決められました。

  • 50.0kg【最軽量】 2頭(7番マリネロ、13番アリスヴェリテ)
  • 51.0kg 1頭(11番インザオベーション)
  • 52.0kg 1頭(6番ホールネス)
  • 53.0kg 5頭(1番ベリーヴィーナスほか)
  • 54.0kg 5頭(2番ジューンオレンジほか)
  • 56.0kg 1頭(9番コスタボニータ)
  • 56.5kg【トップハンデ】 1頭(4番ミッキーゴージャス)

ハンデ戦になった2006年以降の斤量別成績を見ると、以下のとおりでした。

  • ~49kg 〔2・0・0・15〕 勝率11.8% 連対率11.8% 複勝率11.8%
  • 49.5~51kg 〔4・6・2・61〕 勝率5.5% 連対率13.7% 複勝率16.4%
  • 51.5~53kg 〔7・5・7・57〕 勝率9.2% 連対率15.8% 複勝率25.0%
  • 53.5~55kg 〔4・5・7・51〕 勝率6.0% 連対率13.4% 複勝率23.9%
  • 55.5~57kg 〔1・2・2・21〕 勝率3.8% 連対率11.5% 複勝率19.2%

今回は該当馬がいませんが、なんと最も勝率が高いのは49kg以下の馬。次に勝率が高いのは51.5kg~53kgの馬で、これらの馬は連対率と複勝率に関しては最も高くなっています

年齢、所属、種牡馬、脚質別、前走クラス別の出走頭数は以下のとおりとなっています。

  • 年齢別 【3歳】0頭 【4歳】5頭 【5歳】9頭 【6歳】2頭
  • 所属別 【関東馬】3頭 【関西馬】13頭
  • 種牡馬別 【キズナ】2頭 【ドゥラメンテ】2頭 【キングカメハメハ】2頭 【その他】10頭
  • 脚質別 【逃げ】2頭 【先行】3頭 【差し】9頭 【追込】1頭 【自在】1頭
  • 前走クラス別 【重賞】7頭(GⅢ福島牝馬S3ほか) 【オープン】3頭(都大路S2ほか) 【3勝】4頭 【2勝】2頭

マーメイドステークス2024 レース展望

6月15日(土)の時点で、1番人気は15番エーデルブルーメ(牝5)、2番人気は4番ミッキーゴージャス(牝4)、3番人気は9番コスタボニータ(牝5)となっています。

ハンデ戦になった2006年以降、マーメイドテークスは1番人気が3勝している一方、7番人気と10番人気もそれぞれ3勝しており、さらに9番人気が2勝、12番人気が1勝するという、まさにハンデ戦らしい「穴党期待のレース」と言えます。

レース展開

このレースは逃げ馬2頭がどのような展開をつくるかが1つのポイントです。

当然、1枠1番の絶好枠に入ったベリーヴィーナスは逃げるでしょう。そして、13番アリスヴェリテも外枠に入りましたが、軽量ハンデを生かして一気にダッシュをかけるはずです。

一方、差し・追い込み馬が多いのもこのレースのポイント。各々いいポジションを取ろうと、スタート後の直線では激しいポジション争いがみられると思います。そんな中、外枠に入ってしまった人気の15番エーデルブルーメは、外を回されるのを嫌って、思い切って前に行くか、最後方まで馬を下げるか、川田騎手には瞬間的な状況判断とポジション取りがせまられます。

逆に、内枠に入ってしまったもう1頭の人気馬、4番ミッキーゴージャスは、馬群に包まれて前が詰まるリスクを考えて、比較的前目のポジションを取るのではないかと予想しています。そして、9番コスタボニータは、真ん中の枠からスタートしますので、周りの動きを見ながら先団~中団の外目、不利の少ないポジションが取れるでしょう。

2頭の逃げ馬の先行争いは、最終的に軽量ハンデを生かしてアリスヴェルテがハナを奪い、ベリーヴィーナスは2番手に控えるでしょう。アリスヴェルテは前走で大逃げを打って勝っていますので、今回もハイペースで逃げるのではないでしょうか

離れた3番手集団で2番ジューンオレンジ、ミッキーゴージャス、コスタボニータ、11番インザオベーションが追走。中団から後方にかけてエーデルブルーメを含む大きな馬群を形成し、最後方には末脚にかける8番セントカメリアが控える展開となりそうです。

3~4コーナーで、アリスヴェルテのリードがどんどん詰まり、2番手のベリーヴィーナスと3番手集団の差も詰まってきます。そして、3番手集団からミッキーゴージャスとコスタボニータが絶好の手ごたえで先頭を捉えようとするでしょう。後方からは10番ゴールドエクリプスと15番エーデルブルーメが一気に外からスパートをかけ、その他の差し・追い込み馬も大きく外に広がって直線に向きます。

最後の直線に入ると、2番手のベリーヴィーナスがアリスヴェルテを捉えて先頭に立ち、粘り込みを図ります。しかし、外からミッキーゴージャスとコスタボニータが並びかけ、さらに大外からゴールドエクリプス、エーデルブルーメ、セントカメリアが猛然と追い込み、ゴール前は接戦に。

最終的にはコスタボニータがベリーヴィーナスを交わして1着でゴールし、あとは粘るベリーヴィーナスと追い込む馬たちとの2着争いという展開になるでしょう

重賞勝ち馬のコスタボニータとミッキーゴージャスはやはり強い

人気になっているミッキーゴージャスは1月のGⅢ愛知杯で重賞初制覇。今回出走する馬の中で愛知杯に出ていた馬が本馬を含めて5頭いますが、やはりミッキーゴージャスの強さが印象強いレースになりました。タガノパッションに詰め寄られましたが、差し切られる勢いではなかったですし、斤量も考えるとミッキーゴージャスが一枚上手です。

そして、愛知杯3着だったコスタボニータは、ミッキーゴージャスよりも1kg重い斤量で何とか食い下がりましたが、前走のGⅢ福島牝馬ステークスを勝って念願の重賞初制覇。この馬も、やはり実力の高さを証明しています。今回はミッキーゴージャスよりも0.5kg軽く、展開面での優位性からコスタボニータの方を上位に評価しています

一方、重賞未勝利ながら人気を集めているエーデルブルーメは、もちろん前走のダイワスカーレットカップ(3勝クラス)の勝ち方は見事でしたが、格でいうとまだまだ前記の2頭とは差があります。伸びては来ると思いますが、格上の2頭を交わすだけの実力があるかどうかは未知数。約2kgの斤量差を生かしてどこまで差を詰められるかというところでしょう。

もう1頭、最軽量ハンデのアリスヴェリテが人気になっていますが、まだ2勝クラスを勝ったばかり。しかも、大逃げをしてバテバテになってギリギリ粘ったというレースでしたので、このメンバーでその戦い方ができるのかというと、厳しいと思います。しかも、外枠に入ってしまったことと、最内枠に別の逃げ馬が入ってしまったことで、どうしてもスタートで脚を使わざるを得ないというところが不安材料です。

ということで、私としてはハンデを考えても実力がそれを上回るということで、重賞勝ちの2頭を上位評価しました

筆者の注目馬 ベリーヴィーナス

私が注目している馬は、絶好の1枠1番に入ったベリーヴィーナスです

ハンデは53kgということで、過去のマーメイドステークスで勝率、連対率、複勝率が高い斤量なのも魅力。ですが、一番の魅力は、この馬の逃げのセンスと粘り強さです。

人気のアリスヴェルテは、パンサラッサのようにハラハラドキドキ、勝つときは豪快だけど負ける時は惨敗という逃げ馬ですが、ベリーヴィーナスはどちらかというと同じオーナーのユニコーンライオンのような逃げ馬

ペースを柔軟に変えながら、後続を引き付けて二の足で突き放し、最後は勝負根性で粘り込むという、地味ではありますが堅実に成績を残せるタイプだと思います。前走の下鴨ステークス(3勝クラス)はまさにその良さが出たレースでした。

2連勝中という勢いもありますし、マーメイドステークスと同じ京都2,000mで勝っているということもこの馬にはプラス材料。おそらくアリスヴェルテにハナを譲ると予想していますが、2番手からでも持ち味を出せるのがこの馬だろうと思って期待しています。

「穴」どれない馬 ゴールドエクリプス

今回の「穴」どれない(侮れない)馬は、昨年のこのレースで当時3勝クラスながら軽斤量を生かして4着に入ったゴールドエクリプスです

その昨年のマーメイドステークスで好走したあと、GⅢ小倉記念3着をはさんで3勝クラスを見事に勝ってオープンクラス入り。鳴り物入りで参戦したGⅠエリザベス女王杯では14着と惨敗しましたが、ここは経験不足もあったと思います。

今年に入って2戦は凡走しているので、成長力という点で不安なところはありますが、持っている実力は今回のメンバーの中でも高い方だと見ています。加えて、斤量が53kgと恵まれたことも、この馬には追い風です。そして、京都競馬場との相性もいいので、決して侮れません。

極端な枠に入らなかったのもよかったと思います。今回は中団からスムーズに進めて外から追い込む形が見られるといいレースができるでしょう。エリザベス女王杯のように力んで前に行ってしまうと厳しいかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

夏競馬は難解なレースが多く、馬券が外れてばかりで落ち込む人も多いかと思いますが、それだけ楽しむ要素が多いということでもありますので、肩の力を抜いて気楽に楽しみましょう

ということで、最後に私のマーメイドステークス2024の厳選6頭をお伝えしてこの記事を締めたいと思います。来週の宝塚記念に向けて資金を調達したいという方は、ご参考まで。

マーメイドステークス2024 厳選6頭

S評価 9番コスタボニータ 1番ベリーヴィーナス

A評価 4番ミッキーゴージャス 8番セントカメリア 15番エーデルブルーメ

穴評価 10番ゴールドエクリプス

※執筆時点(R6.6.15)の筆者による個人的な評価です。競馬予想を保証するものではありません。

※筆者の評価基準は、能力7:展開2:ロマン1です。

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