春のGⅠ戦線真っただ中ですが、今週は中休み。しかし、注目の重賞レースが3つも開催されます。
今回はそのうちの1つ、GⅢ福島牝馬ステークスのレース展望をしてみたいと思います。
1着馬にGⅠヴィクトリアマイルの優先出走権が与えられるこのレース。果たして、どの馬が最終切符を勝ち取るのでしょうか?
福島牝馬ステークス2024 概要
まず、レースの概要をご覧ください。
- 福島牝馬ステークス2024 概要
- 開催日時 R6.4.20(土)15:25発走
コース 福島競馬場(右回り)11R 芝1,800m
条件 4歳以上オープン GⅢ 別定 牝馬限定
馬場状態 良(予想)
出走頭数 16頭(全て牝馬)
その他 1着馬はGⅠヴィクトリアマイルの優先出走権を獲得
コースですが、正面スタンド前をスタートしたあと、第1コーナーから第4コーナーまで4つのコーナーを回り、最後は292mという短い直線を走ってゴールに向かいます。
コーナリングの器用さに加え、先行馬も差し馬も、短い直線で先頭に立つためのスピードと瞬発力が求められそうです。
続いて、出走馬16頭の一覧をご覧ください。
牝馬限定戦ですので出走全頭が牝馬ですが、2番エリカヴィータだけは別定重量により他馬より1kg重い56kgの斤量となっています。
年齢、所属、種牡馬、脚質別の出走頭数は以下のとおりとなっています。
- 年齢別 【4歳】8頭 【5歳】6頭 【6歳】2頭
- 所属別 【関東馬】10頭 【関西馬】6頭
- 種牡馬別 【キングカメハメハ】2頭 【ゴールドシップ】2頭 【ハービンジャー】2頭 【ディープインパクト】2頭 【その他】8頭
- 脚質別 【逃げ】1頭 【先行】8頭 【差し】7頭
福島牝馬ステークス2024 レース展望
4月20日(土)早朝の時点で、1番人気は1番コスタボニータ(牝5)、2番人気は16番グランベルナデット(牝4)、3番人気は11番タガノパッション(牝6)となっています。
福島牝馬ステークスは、なんと昨年まで単勝1番人気の馬が10連敗していたということで、ファンの間でも「荒れるレース」という印象が強いのではないでしょうか。
果たして人気馬が来るのか、それとも今回も荒れるレースになるのか。
レース展開
外枠に先行馬いるため、スタート後の正面スタンド前では激しい先行争いが見られるでしょう。
おそらく、12番ラリュエルが逃げて、8番ウインピクシス、14番フィールシンパシー、16番グランベルナデットらがこれに追走する形になると思います。
1番コスタボニータは最内枠ですが、逃げたくはないと思いますので、先団の内でジッとする形に。11番タガノパッションや15番シンリョクカは中団から後方待機となるでしょう。
3コーナーを過ぎると後方にいた馬たちが仕掛け始め、4コーナーで先団グループを飲み込む形に。
直線ではコース一杯に各馬が広がり、短い直線を使って瞬発力に優れた馬が前の馬を捉えるでしょう。
コースの形態上、極端に早いペースにはならないと考えられますので、前で粘る馬もいると思います。
データ上は中山牝馬ステークス組が有利
なんと、過去の福島牝馬ステークス優勝馬20頭のうち、実に15頭(75%)が前走で中山牝馬ステークスを走っていた馬でした。
しかも、JRAのデータによると、過去10年の前走別成績では中山牝馬ステークス組が〔5・6・2・51〕と、連対馬の半数以上を占めているようです。
今回の出走馬の中で前走が中山牝馬ステークスの馬は以下の4頭です。
データ上はこの4頭が強いと考えられますが、では4頭の中の序列はどうでしょうか?
正直にいえば、この4頭に大きな差はないと考えています。実際、11番タガノパッションはその前のレースのGⅢ愛知杯で1番コスタボニータに先着していますし、コスタボニータはさらにその前のレースのGⅡ府中牝馬ステークスで15番シンリョクカに先着しています。14番フィールシンパシーも、他馬との力関係をみれば逆転できる力はあるでしょう。
しかし、私としてはこの中でもシンリョクカに期待しています。
シンリョクカはこれまでGⅠオークス(芝2,400m)、GⅠエリザベス女王杯(芝2,200m)、GⅡ日経新春杯(芝2,400m)といった強豪が集まる中長距離レースを使ってきました。しかし、ここでは相手が悪すぎた。それでも絶望的な負けを見せなかったのはこの馬の実力でしょう。
そして迎えた中山牝馬ステークス(芝1,800m)では、相手関係や距離がこの馬の能力にピッタリだったことが3着という好走につながったと思います。
シンリョクカには一時、成長力を疑問視するところはありましたが、今は「まだ衰えてはいなかった」と言えます。今回のメンバーと距離なら新馬戦以来の2勝目を挙げることはできるでしょう。
筆者の注目馬 ライトクオンタム
中山牝馬ステークス組が強いことはわかりましたが、私は別路線組で気になる馬がいます。
それは、ディープインパクトのラストクロップ(最後の世代の子供)、13番ライトクオンタムです。
ライトクオンタムの前走は、2月に小倉競馬場で行われたオープン特別の小倉日経オープン(芝2,000m)で3着でした。
この馬もシンリョクカと同じく成長力を疑問視していましたが、昨年末のGⅢターコイズステークスで5着に入り、「これは成長するかも」と期待していました。そして迎えた前走の小倉日経オープンでは、4コーナーを絶好の手ごたえで回ると、あわや勝利という粘りを見せました。私はこのレースぶりを見て、ライトクオンタムは「成長している」という確信を持ちました。
オークスの走りなどを見て「この馬は短い距離がいいのかな?」と思っていましたが、前走の芝2,000mで好走したところを見ると、意外にも中距離向きの可能性も出てきました。
初めての福島競馬場がどうかという不安もありますが、似たような小倉でも好走していますし、吉田隼人騎手が前走から継続して騎乗する点はプラス材料です。
「穴」どれない馬 ラリュエル
今回の「穴」どれない(侮れない)馬は、矢作厩舎が送り出す不気味な馬、12番ラリュエルです。
前走は、3月に中京競馬場で開催された3勝クラスの豊橋ステークス(芝1,600m)で見事に1着でした。
このレースでラリュエルは12番人気と低評価でしたが、スタートからハナを奪い、カナテープやマラキナイア(ラリュエルの半妹)といった素質馬たちを相手に鮮やかな逃げ切り勝ちを収めています。
ラリュエルは、3歳時にGⅡローズステークス4着に入るなど期待が大きかった馬で、奇しくも注目馬として挙げたライトクオンタムと同じくディープインパクト産駒です。矢作厩舎で大事に育てられてながら、ようやく10戦目でオープン入りを果たしました。
今回の福島牝馬ステークスは、このラリュエルがペースを握るでしょう。前走と同じ北村友一騎手が鞍上ですので、無理のないペースで逃げることができれば3着以内に粘り込むことは可能だと考えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「芝1,800m」というマイラーでもステイヤーでもこなせる中途半端な距離、そして調子が読みにくい牝馬同士のレースということが波乱を呼び起こす要因ではないかと思っていますが、果たして今回も波乱の結果となるのでしょうか。それとも、「1番人気は勝てない」というジンクスは破られるのでしょうか。
ということで、最後に私の福島牝馬ステークス2024の厳選5頭をお伝えしてこの記事を締めたいと思います。
福島牝馬ステークス2024 厳選5頭
S評価 15番シンリョクカ 13番ライトクオンタム
A評価 1番コスタボニータ 10番キミノナハマリア
穴評価 12番ラリュエル
※執筆時点(R6.4.20早朝)の筆者による個人的な評価です。競馬予想を保証するものではありません。