今週末は文化の日（11/3）と土日で３連休の方も多いと思いますが、競馬界では地方競馬とアメリカで競馬の祭典ともいうべきレースが開催されます。
その名もブリーダーズカップ。１日でたくさんのGⅠレースが開催されるとてもエキサイティングな日です。
ということで、今年2023年の秋競馬の見どころを解説するシリーズ第５弾は、ブリーダーズカップが注目のダート戦線編です。
ダート戦線と秋競馬について知ろう！
前回は、今年の中長距離戦線について教えてもらったんですが、今回はダート戦線の見どころを教えてもらえるんですよね？
↓
で、ダートってなんですか？
おい！（ズッコケ）ダートも知らないのか？
ダート（dirt）っていうのは、和訳すると「土、泥」だろ？つまり、馬場（馬が走る地面）が土や砂でできたコースを走るレースのことだ。
そうなんですか。そういえば、競馬場の芝コースの内側に砂のコースがありますね。あそこを走るんですね？
そうだ。ちなみに、アメリカでは日本と違って内側に芝コースがあって外側にダートコースがあるんだがな。
まあ、それは置いといて、ダートと芝ではレースで必要な能力の質が違うから、芝コースでは勝てなくても、ダートを走るとめっぽう速いっていう馬もいるんだ。
だから、ダートを走る馬たちはその他の馬たちと分けて能力を評価すべきだな。
なるほど。だから、これまでは得意な距離別に有力馬を見てきましたけど、ダートはダートでひっくるめて馬やレースを見ていくんですね。
そうだ。中央競馬（JRA）ではダートが得意な馬たちのためのレースも用意されているし、なんといっても、今は地方競馬との交流レースに出走する有力馬が多い。
地方競馬？交流レース？
詳しいことはまた別の機会に解説するが、日本の競馬には大きく分けて中央競馬と地方競馬の２種類があるんだ。
中央競馬はみんながよく知る馬たちが走るレースで、これまで紹介してきた馬たちも全て中央競馬の馬たちだ。
地方競馬は、日本中央競馬会（JRA）ではなく、地方自治体が主体で開催している競馬レースだ。例えば東京だと大井競馬場があるし、他にも盛岡や金沢、高知、佐賀といった場所にも競馬場がある。
開催規模は中央競馬よりも小さいし、正直に言って馬のレベルは高くないが、地方交流重賞と言われるレースは優勝賞金も高いし、中央の有力馬も出走するためハイレベルなレースが楽しめるんだ。
へえ！そうなんですね。ちょと興味が出てきました。でも、それがダートレースとどう関係があるんですか？
何を隠そう、地方競馬のレースは全てダートコースで開催されるんだ。
2023秋競馬の見どころはコレだ！
なるほど。じゃあ、秋競馬は中央競馬と地方競馬の両方に見どころがあるんですね？
そうなんだが、今年の秋は海外のレースも注目だぞ。
ダート戦線まとめ
海外？ということはアメリカですか？
そのとおり。じゃあ、まずこれを見てくれ。
この表は今年2023年のダート路線で活躍している馬たちの一覧だ。
| 馬名（性齢） | レーティング （５点満点） | 戦績 （主な勝ち鞍） | 次走予定 |
| ウシュバテソーロ （牡６） | ★★★★★ （満点） | 30戦10勝 （23’ドバイWC、23’川崎記念、22’東京大賞典） | BCクラシック |
| パンサラッサ （牡６） | ★★★★ | 26戦７勝 （23’サウジC、22’ドバイターフ、22’中山記念） | チャンピオンズC |
| レモンポップ（牡５） | ★★★★ | 13戦９勝 （23’フェブラリーS、23’南部杯、23’根岸S） | チャンピオンズC |
| クラウンプライド （牡４） | ★★★ | 12戦４勝 （23’コリアC、22’UAEダービー） | チャンピオンズC |
| メイショウハリオ （牡６） | ★★★ | 22戦９勝 （23’22’帝王賞、23’かしわ記念、22’マーチS） | JBCクラシック |
| リメイク （牡４） | ★★★ | 14戦７勝 （23’コリアスプリント、23’クラスターC、22’カペラS） | JBCスプリント |
| グロリアムンディ （牡５） | ★★ | 18戦７勝 （23’平安S、23’ダイオライト記念） | チャンピオンズC |
| ハギノアレグリアス （牡６） | ★★ | 15戦７勝 （23’シリウスS、23’名古屋大賞典） | チャンピオンズC |
| ミックファイア （牡３） | ★★ | ７戦７勝 （23’南関東３冠、23’ダービーグランプリ） | チャンピオンズC |
| テーオーケインズ （牡７） | ★★ | 23戦10勝 （22’JBCクラシック、21’チャンピオンズC、21’帝王賞） | JBCクラシック |
| ウィルソンテソーロ （牡４） | ★★ | 11戦７勝 （23’白山大賞典、23’マーキュリーC、23’かきつばた記念） | JBCクラシック |
| ドンフランキー （牡４） | ★★ | 14戦７勝 （23’東京盃、23’プロキオンS） | JBCスプリント |
| グランブリッジ （牝４） | ★★ | 13戦６勝 （23’エンプレス杯、23’TCK女王盃） | JBCレディスクラシック |
| プロミストウォリア （牡６） | ★★ | ９戦６勝 （23’アンタレスS、23’東海S） | 武蔵野S |
「レーティング」っていうのはTOPROADOORさんの独自評価で、星★の数が多ければ多いほど馬が強いことを示しているんですよね（満点は★５つ）。
・・・おー！今回も満点評価の馬がいますね。ウシュバテソーロって・・・なんか言いにくい名前ですけど、かなり強いんですか？
そうだな。なんと言っても、世界で通用する実力があるからなんだ。
性齢 ６歳牡馬
父 オルフェーヴル
母 ミルフィアタッチ（母父 キングカメハメハ）
馬主 了徳寺健二ホールディングス
生産者 千代田牧場
調教師 高木登（美浦）
戦績 30戦10勝（23’ドバイWC、23’川崎記念、22’東京大賞典、23’日本テレビ盃）
次走予定 米国GⅠブリーダーズカップクラシック（R5.11.5）
独自レーティング ★★★★★（満点）
世界で通用って・・・あ、今年勝ったレースでドバイワールドカップってありますけど、これのことですか？
そう。ドバイワールドカップというのはドバイ（UAE）で開催されるダート2,000mのGⅠレースで、なんと優勝賞金が約９億円なんだ。
９、９億！？そのレースに勝っちゃったんですか？
このレースにはカントリーグラマー（米国）という前年の同レース覇者も出ていたんだが、レースはウシュバテソーロの完勝だった。これがそのレース映像だ。
ほんとだ。後から追い込んで楽に差し切りましたね。
で、次走が・・・ブリーダーズカップクラシックって、アメリカのレースですか？
そうだ。ドバイワールドカップは優勝賞金が世界トップクラスだが、本当の意味での世界最高のダートレースは、このブリーダーズカップクラシックだ。このレースに勝った馬が、世界No.1のダート馬だと認められるんだ。芝のレースで言うなら、凱旋門賞に勝つことと同じくらい名誉のあることだ。
ということは、ウシュバテソーロがこのレースで世界No.1を目指すことになるんですね。それは楽しみだ！
日本のブリーダーズカップも注目だ！
実は、日本にもアメリカのブリーダーズカップと同じようなレースがあるんだ。それがJBC（ジャパンブリーディングファームズカップ）だ。
へえ。これはどんなレースなんですか？
本家のアメリカのブリーダーズカップにならって、2001年から開催されている地方競馬の祭典だ。本家（アメリカ）も毎年持ち回りで開催競馬場が変わるが、JBCも地方競馬の各競馬場が持ち回りで開催地に選ばれるんだ。今年2023年は東京の大井競馬場が開催地だ。
そうなんですね。上の表の有力馬の中にも次走がJBCになっている馬がたくさんいますね。・・・で、JBCクラシックとかJBCスプリントとかありますけど、JBCの中にも色々レースがあるんですか？
そうなんだ。これも本家のアメリカにならって、１日に同じ競馬場で何個もGⅠレースが開催されるんだ。そこがブリーダーズカップが競馬の祭典といわれる所以だ。
今年2023年は11/3（文化の日）に大井競馬場で以下のレースが開催されるぞ。
9R JBCレディスクラシック・・・ダート1,800m 牝馬限定 10R JBCスプリント・・・ダート1,200m 11R JBCクラシック・・・ダート2,000m
ちなみに、同じ日に門別競馬場でもJBC２歳優駿（ダート1,800m）という２歳馬限定のGⅢレースも開催されるんだ。
へえ。この中で注目のレースはどれになりますか？
それはやっぱり、本家と同じでJBCクラシックが一番の注目レースだろう。
今年の帝王賞（大井競馬場ダート2,000m）を勝ったメイショウハリオが１番手だろうが、他にも昨年のJBCクラシック覇者テーオーケインズや地方交流重賞３連勝中のウィルソンテソーロなどなかなかの強豪が参戦するぞ。
それは楽しみだ。１日に何個もGⅠレースを楽しめるなんて、ファンにとってはたまらないですよね。
年末のチャンピオンズカップがヤバい！
JBCも楽しみだが、ある意味それよりも楽しみなレースがあるんだ。
それは、12月に中京競馬場で開催されるダート馬No.1決定戦、チャンピオンズカップだ。
JBCよりも楽しみなレース？何がそんなに凄いんですか？
中央競馬（JRA）で開催されるダートのGⅠレースはこのチャンピオンズカップと２月のフェブラリーステークスの２つしかない。だから、中央のダート馬たちにとって貴重で重要なレースであることは間違いない。
今年のチャンピオンズカップに関しては、これに増して参戦するメンバーが凄いんだ。
確かに、上の表でレーティングの高い有力馬たちがこぞって次走にチャンピオンズカップを予定していますね。
その有力馬の中でも、特に注目なのがパンサラッサとレモンポップだ。
２頭ともレーディングが★４つでウシュバテソーロの次に評価が高い馬ですね。どこが注目なんですか？
まずパンサラッサだが、この馬は知る人ぞ知る超人気の逃げ馬だ。なんせ、昨年の天皇賞（秋）であのイクイノックスを相手にあわやの２着に逃げ粘ったんだからな。
天皇賞（秋）って、この馬はダート馬じゃないんですか？
そう。元々は芝の中距離レースで活躍していた馬なんだが、今年の２月に突如として海外のダートレースに出走したんだ。それがサウジアラビアで開催されたGⅠサウジカップ（ダート1,800m）だ。ここで見事に逃げ切り勝ちを収めたんだが、それがこの映像だ。
へえ。このレースもドバイワールドカップと同じくらい凄いんですか？
このレースでもアメリカのカントリーグラマーが出走していたんだが、追い込みが届かず２着だった。それよりも、優勝賞金がなんと約13億円と世界最高額のレースなんだ。
じゅ、じゅ、13億！？日本の歴史的名馬が生涯かけて稼ぐような賞金をたった１レースで稼いじゃったんですか？
※ディープインパクトの生涯獲得賞金が約14億５千万円
パンサラッサがチャンピオンズカップでも大逃げを見せるか注目だ。
そして、もう１頭のレモンポップだが、こちらは２月のフェブラリーステークスの覇者、つまりディフェンディングチャンピオンだ。
これがフェブラリーステークスのレース映像だ。
おー、強い勝ち方。３着はJBCクラシックで注目のメイショウハリオか。これは有力候補ですね。
さらに強い勝ち方だったのが前走のマイルチャンピオンシップ南部杯（ダート1,600m）だ。盛岡で開催された地方交流GⅠなんだが、なんと２着に２秒もの大差をつけて楽勝したんだ。それがこの映像だ。
すげー。これは相当強そうですね。逃げるパンサラッサをレモンポップが追いかけるっていう昨年の天皇賞（秋）のようなレースが見られそうですね。
その他にも韓国の重賞レースを圧勝したクラウンプライド、今年重賞２勝のグロリアムンディやハギノアレグリアスといった強豪も参戦予定だし、一番楽しみなのは今年の南関東３冠を無敗で制した大井所属の３歳馬ミックファイアが無敗のまま参戦することだな。果たして中央の強豪相手にどんな競馬を見せるのか注目だ。
もちろん、JBCから参戦する馬もいるでしょうし、先日の天皇賞（秋）にも負けないくらい凄いメンバーが集まりそうですね！
まとめ
いかがでしたでしょうか？
初心者向けにわかりやすく秋のダート戦線の見どころを解説したつもりですが、「この記事を見たことでより秋競馬が楽しみになった」と思っていただけると幸いです。
JBCもチャンピオンズカップも本当に楽しみですね。そして、ブリーダーズカップクラシックの日本馬の初制覇が見られるのか。皆さんでぜひ応援しましょう！
次回は最終回として２歳戦線編を記事にしたいと思いますので、ぜひ楽しみにお待ちください！