武豊が還暦で5000勝を達成することは夢物語だろうか

武豊が還暦で5000勝を達成することは夢物語だろうか

2018年9月29日、阪神競馬場で武豊はJRA通算4000勝を達成した。
デビューは1987年3月。足かけ31年と半年で作り上げた大記録に、本人は”らしい”コメントを残している。

数字にこだわりはないし、4000勝を目標に騎手を続けているわけではないので、それほど特別感は持っていない

これこそ、武豊が日本のトップジョッキーを30年も続けていられる理由だと思うのだ。

武豊はこのようにも語っている。

「僕が競馬をする上で一番大事にしているのは、相手に合わせた競馬をしないということ。他の馬に合わせて自分の乗り方を変えたりは決してしない

つまり、騎手が最も注意すべきは自分の馬であって、他の馬ではない、ということだ。
自分の馬が勝つには、どこが足りないのか。具体的に言えば、「自分は本命馬より何秒足りない馬に乗って、その足りない分をどう縮めるのか」ということを考えているというのだ。

他馬をあざ笑うかのような鮮やかな逃げ切り勝ちも、キッチリ測ったようにゴール前で交わす差し切り勝ちも、武豊にとっては、自分の馬との対話と戦略を尽くした上で成し遂げられるものなのだろう。

これまで引退を意識したことはないという。2010年の大ケガで「ヤバい」と思ったことはあったが、これも結果的に治ったので、当たり前のように騎手を続ける。

「調教師は興味がないというか、向いているとも思わないし、なりたい気持ちがまったく湧いてこない」と、あくまで騎手としての自分とその仕事ぶりに対して強い関心を持っているようだ。

武豊の強さは、騎手という仕事への向き合い方にもあると思う。

「負けるのが普通。負ければ悔しいが、がっくりすることはない。敗戦の中にヒントがあるから」と、自分が乗って負けたレースは最低でも3回はしっかり映像を見て振り返っているという。 1回目は普通に見て、2回目は自分視点で『もしこう乗っていたら』と仮定の展開を考えながら。そして、3回目には勝った馬と騎手の視点で見るのだ。

一方で、4000勝は武豊に新たな目標を抱かせた。

「4000勝した時、ご褒美をもらったような気分で本当にうれしかった。あれで5000勝したくなった。もう1度こういうのを味わいたいな、と」

4000勝を目標にしていたわけではなかったが、”騎手としてこの上ない喜び”がご褒美としてもらえた。

武豊を知れば知るほど、「還暦で5000勝」という歴史的偉業は全くの夢物語ではないと思えるし、「次は6000勝を目指します」といつもの笑顔で語る彼の姿がはっきりと見えてくるのだ。

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